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<rss xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom" version="2.0" xmlns:media="http://search.yahoo.com/mrss/"><channel><title><![CDATA[Telescopium]]></title><description><![CDATA[Telescopium]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/</link><generator>Ghost 0.7</generator><lastBuildDate>Fri, 28 Feb 2025 09:34:16 GMT</lastBuildDate><atom:link href="http://telescopium.stellato.blog/rss/" rel="self" type="application/rss+xml"/><ttl>60</ttl><item><title><![CDATA[「シンガポール労働法〜祝日・公休〜」]]></title><description><![CDATA[<p>シンガポールでは、公示された祝日が11日あります。従業員には労働法に基づき、年間11日の有給祝日を取得する権利があります。</p>

<p>このレポートでは、シンガポールの11の祝日とは何か、祝日の労働と休息に関する規制と通常の慣行とは何かについて説明します。</p>

<h3 id="">シンガポールの祝日</h3>

<p>シンガポールの祝日は、国民の多様な人種、宗教、文化に基づき規定されています。以下、11の祝日をご紹介します。
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/07/Report-5_Pic-1-1.png" alt=""></p>

<p>春節（旧正月）、グッドフライデー、仏誕節、ハリラヤプアサ、ハリラヤハジ、ディーパバリは移動祝日ですので、西暦上の日付は毎年変わります。</p>

<p>通常、祝日の日程は、各宗教団体から助言を受け、前年の4月頃に政府から発表されます。しかし、その後天文計算の変化により、日付が変更されることもあります。</p>

<h3 id="">有給公休</h3>

<p>シンガポールの祝日は、労働法の対象となる全従業員の有給休暇とみなされます。</p>

<p>以下の場合、祝日でも総支給額を受け取ることができます。</p>

<ul>
<li>祝日の直前または直後の営業日に、同意または妥当な理由なく欠勤してい<strong>ない</strong>こと</li>
<li>祝日の直前または直後の営業日に、許可された休暇（例：病気休暇、年次休暇、無給休暇）を取得している</li>
<li>祝日が承認された無給休暇に該当し<strong>ない</strong>こと
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/07/Screenshot-2022-07-07-at-4-26-55-PM.png" alt=""></li>
</ul>

<h3 id="">振替休日・給与</h3>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporulao-dong-fa-zhu-ri-gong-xiu/</link><guid isPermaLink="false">5ca1f9f0-e3b9-42f9-acc0-e1ff8de5c463</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Thu, 07 Jul 2022 08:42:17 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>シンガポールでは、公示された祝日が11日あります。従業員には労働法に基づき、年間11日の有給祝日を取得する権利があります。</p>

<p>このレポートでは、シンガポールの11の祝日とは何か、祝日の労働と休息に関する規制と通常の慣行とは何かについて説明します。</p>

<h3 id="">シンガポールの祝日</h3>

<p>シンガポールの祝日は、国民の多様な人種、宗教、文化に基づき規定されています。以下、11の祝日をご紹介します。
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/07/Report-5_Pic-1-1.png" alt=""></p>

<p>春節（旧正月）、グッドフライデー、仏誕節、ハリラヤプアサ、ハリラヤハジ、ディーパバリは移動祝日ですので、西暦上の日付は毎年変わります。</p>

<p>通常、祝日の日程は、各宗教団体から助言を受け、前年の4月頃に政府から発表されます。しかし、その後天文計算の変化により、日付が変更されることもあります。</p>

<h3 id="">有給公休</h3>

<p>シンガポールの祝日は、労働法の対象となる全従業員の有給休暇とみなされます。</p>

<p>以下の場合、祝日でも総支給額を受け取ることができます。</p>

<ul>
<li>祝日の直前または直後の営業日に、同意または妥当な理由なく欠勤してい<strong>ない</strong>こと</li>
<li>祝日の直前または直後の営業日に、許可された休暇（例：病気休暇、年次休暇、無給休暇）を取得している</li>
<li>祝日が承認された無給休暇に該当し<strong>ない</strong>こと
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/07/Screenshot-2022-07-07-at-4-26-55-PM.png" alt=""></li>
</ul>

<h3 id="">振替休日・給与</h3>

<p>祝日が従業員の非労働日または休息日に当たる場合は、労働法に従い、別の休日または1日分の給与を追加で受け取ることができます。</p>

<p><strong>祝日が休息日(rest day)の場合</strong></p>

<p>休息日に祝日が当たる場合は、翌出勤日が有給の公休日となります。</p>

<p>一般的に、月曜日から金曜日までの週5日勤務の労働者は、日曜日は休息日とみなされます。</p>

<p>例：2022年のVesak Dayは2022年5月15日（日曜日）ですので、次の月曜日（5月16日）が公休日になります。</p>

<p><strong>祝日が非労働日(non-working day)の場合</strong></p>

<p>雇用法に基づき、祝祭日が非労働日と重なった場合、従業員は祝日の代わりにもう1日の休日、または1日分の給与を追加で受け取る権利があります。</p>

<p>どちらを選ぶかは、通常、従業員と会社の間の合意（例：会社規則や雇用契約）によってあらかじめ決められています。シンガポールの企業は通常、従業員の年次休暇に追加し、特定の期限（例：祝日後6ヶ月以内）で従業員にこの日を使用させます。</p>

<p>一般的に、月曜日から金曜日までの週5日勤務の労働者は、土曜日は非労働日とみなされます。その他の労働者については、非労働日は雇用契約によって異なります。</p>

<p><strong>祝日に出勤した場合</strong></p>

<p>祝日に勤務する必要がある場合、デフォルトでは、雇用主は従業員に追加で1日分の給与を支払う必要があります。月給にはすでに休日分の給与が含まれているので、雇用主は従業員に1日分の給与を追加で支払えばよいことになります。</p>

<p>または、双方の合意により、他の営業日に祝日を振り替えることも可能です。</p>

<p>ただし、祝日の前後の労働日に理由なく欠勤した場合は、追加給与や振替休日は与えられません。そのため、雇用主は従業員の月給から1日分の給与を差し引くことができます。</p>

<p><strong>労働法Part IVに該当しない従業員の場合</strong></p>

<p>従業員が労働法Part IVの適用を受けない場合、会社は祝日に勤務する従業員に対して代休を付与することができます。この代休は、相互に合意した時間数で構成されている必要があります。</p>

<p>代休の期間について相互の合意がない場合、雇用主は以下のいずれかを決定することができます：</p>

<ul>
<li>1日の労働に対して、基本給の1日分の給与を追加で支払う</li>
<li>休日労働が4時間以内の場合、労働日の4時間分の代休を与える</li>
<li>休日労働が4時間以上の場合、労働日に1日分の休日を与える</li>
</ul>

<h3 id="">筆者考察</h3>

<p>法律や規制だけでなく、シンガポールの労働文化を理解することも重要です。法律で義務付けられているわけではありませんが、シンガポールのほとんどのオフィスでは、重要な祝日の前日に少なくとも半日休みが与えられています。これは年次休暇から差し引かれません。</p>

<p>シンガポールは多文化の国であるため、特定の人種や宗教の従業員に、それぞれのフェスティバルの前日に半日休暇を与えるのが一般的です。例えば、旧正月の前日にはチャイニーズ系の社員に半日、ハリラヤの前日にはマレー系の社員に半日、といった具合です。</p>

<p>しかし、実際には、調和と公平性を確保するため、最近は人種に関係なく全社員にこの半日休暇を与える企業が多くなってきています。最も一般的な例は、旧正月の大晦日に、ほぼすべての会社員（特に事務職）が会社から半日休暇をもらうことです。</p>

<p>また、もう1つ重要なことがあります。非労働日と休息日の定義は多くの人にとって混乱を招き、紛争を引き起こす可能性があります。したがって、従業員が月曜日から金曜日までの標準的な週5日勤務で働いていない場合、事前にその条件を明確に示すことが非常に重要です。</p>

<p>また、祝日に勤務した場合の給与は、シナリオによって異なります。計算方法の違いについては、説明が長くなるためこのレポートから省略します。詳細は、労働省のホームページでご確認ください。また、正確な計算をするために、オンライン計算機も用意されています。</p>

<p>References: <br>
<a href="https://sso.agc.gov.sg/Act/HA1998">https://sso.agc.gov.sg/Act/HA1998</a> <br>
<a href="https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968">https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968</a> <br>
<a href="https://www.mom.gov.sg/employment-practices/public-holidays">https://www.mom.gov.sg/employment-practices/public-holidays</a> <br>
<a href="https://www.mom.gov.sg/employment-practices/public-holidays-entitlement-and-pay">https://www.mom.gov.sg/employment-practices/public-holidays-entitlement-and-pay</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポール労働法〜Part IV（休息日、労働時間、その他の労働条件）〜」]]></title><description><![CDATA[<p>労働法には「Part IV（パート4）」と呼ばれる、一部の労働者にのみ適用される雇用法があります。このPart IVの適用を受ける場合、労働時間は規制され、休憩、残業代、休息日を得る権利があります。</p>

<p>今回のレポートのガイドライン内容は、Part IVの対象者に適用されます。</p>

<h3 id="partiv">「Part IV」とは</h3>

<p>休息日、労働時間、その他の勤務条件について定めた雇用法のPart IVは、以下の労働者にのみ適用されます。</p>

<ul>
<li>基本月給が4,500ドル以下の労働者（肉体労働者）</li>
<li>雇用法の適用を受け、2,600ドル以下の基本月給を得ている労働者（肉体労働者以外）</li>
</ul>

<p>基本月給には、残業代、ボーナス、年俸補填、生産性向上奨励金、特別経費の払い戻し、およびすべての手当の支払いは含まれません。</p>

<p>また、給与に関係なく、すべての 管理職（Managers）や経営幹部（Executives）は対象ではありません。一般に、管理職や経営幹部は、経営や監督の機能を持つ労働者です。</p>

<p>管理職、経営幹部の任務と権限には、</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporulao-dong-fa-part-iv-xiu-xi-ri-lao-dong-shi-jian-sonota-nolao-dong-tiao-jian/</link><guid isPermaLink="false">c6d0b5b8-2bf0-429c-b35f-14eb65031534</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Wed, 08 Jun 2022 09:25:08 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>労働法には「Part IV（パート4）」と呼ばれる、一部の労働者にのみ適用される雇用法があります。このPart IVの適用を受ける場合、労働時間は規制され、休憩、残業代、休息日を得る権利があります。</p>

<p>今回のレポートのガイドライン内容は、Part IVの対象者に適用されます。</p>

<h3 id="partiv">「Part IV」とは</h3>

<p>休息日、労働時間、その他の勤務条件について定めた雇用法のPart IVは、以下の労働者にのみ適用されます。</p>

<ul>
<li>基本月給が4,500ドル以下の労働者（肉体労働者）</li>
<li>雇用法の適用を受け、2,600ドル以下の基本月給を得ている労働者（肉体労働者以外）</li>
</ul>

<p>基本月給には、残業代、ボーナス、年俸補填、生産性向上奨励金、特別経費の払い戻し、およびすべての手当の支払いは含まれません。</p>

<p>また、給与に関係なく、すべての 管理職（Managers）や経営幹部（Executives）は対象ではありません。一般に、管理職や経営幹部は、経営や監督の機能を持つ労働者です。</p>

<p>管理職、経営幹部の任務と権限には、以下の1つまたはすべてが含まれます。</p>

<ul>
<li>採用、懲戒、解雇、業績評価、報酬などの問題についての意思決定</li>
<li>企業の戦略や方針を策定する</li>
<li>事業を管理・運営する</li>
</ul>

<p>また、高等教育を受け、専門的な知識や技能を持ち、雇用形態が管理職や経営者に近い専門職も対象ではありません。例えば、弁護士や事務弁護士、公認会計士、開業医や歯科医師などです。</p>

<h3 id="">休憩時間</h3>

<p>通常、労働者は休憩なしで連続6時間以上働く必要はありません。しかし、仕事の性質上、8時間連続して働く必要がある場合、少なくとも45分間の食事休憩を取る必要があります。</p>

<h3 id="">労働時間</h3>

<p>一般的に、労働者は1週間に44時間以上働くことは認められていません。一般的な勤務形態の場合、契約上の労働時間は以下のとおりです。</p>

<p><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/06/Report-7-_pic-1.png" alt=""></p>

<p>しかし、労働者と雇用主は労働時間について、以下のように一般的な勤務形態とは異なる勤務契約を結ぶこともできます。
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/06/Report-7_-Pic-2.png" alt="">
注：シフト制ではないものの、1日12時間まで、かつる3週間のうち平均44時間を超えない範囲で働くことに同意する場合、以下を行う必要があります。</p>

<ul>
<li>書面で同意する</li>
<li>雇用者から労働法第38条および第40条の規定を説明する</li>
<li>1日の労働時間、1週間の労働日数、1週間の休息日を知らされる</li>
</ul>

<h3 id="">残業代</h3>

<p>残業とは、通常の労働時間（休憩時間を除く）を超えて行われるすべての労働をいいます。</p>

<p>労働法のPart IVに該当する労働者は、残業代を請求する権利があります。支払われる残業代の上限は、給与水準で1月SGD2,600、時間給でSGD13.60となっています。</p>

<p>時間外労働については、雇用主は1時間当たりの基本給の少なくとも1.5倍を支払わなければなりません。支払いは、給与期間の最終日から14日以内に行わなければなりません。</p>

<h3 id="">最大労働時間</h3>

<p>労働者は1日12時間以上働くことはできません。ただし、以下のような状況であれば、雇用主は1日12時間を超えて働くよう求めることができます。</p>

<ul>
<li>事故または事故のおそれがある場合</li>
<li>地域社会の生活、国防、安全保障に不可欠な業務</li>
<li>機械やプラントに対する緊急の作業</li>
<li>予見不可能な業務の中断</li>
</ul>

<p>雇用主が労働者に1日12時間以上（最大14時間まで）働かせる場合、労働省（MOM）にオンラインで時間外労働の免除を申請する必要があります。</p>

<h3 id="">残業の上限時間</h3>

<p>労働者は1ヶ月に72時間までしか残業できません。</p>

<p>雇用主は、1ヶ月に72時間を超える時間外労働を労働者に要求する場合、免除を申請する必要があります。ただし、免除が認められない業務があります。これらはMOMのサイトに掲載されています。</p>

<p>休息日や祝祭日の労働は、72時間の時間外労働の制限に含まれません。ただし、これらの休息日や祝祭日の通常の労働時間を超えて行われた労働は、72時間の時間外労働の制限に含まれます。</p>

<h3 id="">休息日</h3>

<p>雇用主は週1回の休息日（英語：Rest Day）を設けなければなりません。休息日は丸1日（午前0時から午前0時）で構成され、有給ではありません。</p>

<p>シフト制の労働者の場合、休息日は30時間の連続した期間となります。日曜日の午後6時前に始まる30時間の休息期間は、翌週の月曜日にまたがる場合でも、その週の中で1日の休息日とみなされます。</p>

<p>雇用主は、例外的な状況でない限り、労働者に休息日に働くことを強制することはできません。</p>

<p>雇用主が休息日を決定しますが、その日は日曜日でも他の曜日でもかまいません。休息日以外の、働く必要のない曜日は、休息日とはみなされません。休息日が日曜日でない場合、雇用主は毎月の名簿を作成し、毎月の開始前に休息日について通知する必要があります。</p>

<p>休息日の間隔は最大で12日間です。</p>

<p>労働者が休息日に働いた場合、その日の労働に対する支払いは次のように計算されます。</p>

<p><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/06/Report-7_-pic-3-1.png" alt=""></p>

<h3 id="">筆者考察</h3>

<p>Part IVに記載されている給与以上の収入がある労働者、あるいは管理職や経営者はどうなのか、疑問に思われるかもしれません。彼らは労働時間や休息日に関して、シンガポールの法律で保護されていないのでしょうか？</p>

<p>EAのPart IVの目的は、主に雇用主から搾取される可能性の高い労働者を保護することにあります。このような人々は、肉体労働者や低賃金労働者に多く、また、同様の内容でより良い条件の仕事を見つけることが困難です。</p>

<p>例えば、ウェイトレスの場合、他のレストランで同じような給与と労働時間の仕事を見つけることができる可能性が高くあります。もし労働者がそのような労働条件を受け入れない場合、会社は、仕事の条件が高くないため、簡単に労働者を入れ替えることができます。また、別の職業に転職することも難しくなります。このように、PartIVは、会社よりも交渉力の低い人たちが搾取されないように設定されています。</p>

<p>一方、高い給料を引き寄せるプロフェッショナルは、自分たちの権利が守られるように会社と交渉することが容易にできます。条件面で折り合いがつかない場合は、自分のスキルを生かして別の会社に移ることも容易にできます。企業が求人市場の最低ライン以上の条件を調整しなければ、必要なポジションを高くすることはできません。したがって、自由な雇用市場が企業をそれなりに誘導してくれるので、シンガポール政府がEAのこの部分を規制する必要はないのです。</p>

<p>References： <br>
<a href="https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968">https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968</a> <br>
<a href="https://www.mom.gov.sg/employment-practices">https://www.mom.gov.sg/employment-practices</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポール労働法〜雇用要項〜」]]></title><description><![CDATA[<p>前回は、シンガポールにおける公正な採用活動に関するルールと、その留意点についてご紹介しました。</p>

<p>従業員の採用が決まったら、次は採用時とその後の雇用に必要な書類の準備と手続きを行います。今回は、企業が従業員を雇用する際に法律上作成が義務付けられている書類と、その他の重要なポイントについて説明します。</p>

<h3 id="">雇用契約書</h3>

<p>雇用契約（英語：Contract of Service）は、雇用条件など、雇用主と従業員の関係を定義するものです。労働時間や職務の範囲など、主要な雇用条件や必須条項が含まれていなければなりません。</p>

<p>契約は、書面、口頭、明示、黙示のいずれでも可能です。任命書や雇用契約書、実習契約書などの形式も可能です。しかし、合意した条件についての紛争を最小限に抑えるため、契約は書面で行うことが強く推奨されます。</p>

<p>また、契約の条件が労働法（EA）の関連規定より不利な場合、その条件は違法、無効とみなされます。無効な条項がある場合、EAの規定がその特定の契約条件より優先されます。雇用主は、従業員が書面で同意しない限り、雇用契約のいかなる条件も変更することはできません。</p>

<h3 id="">雇用契約開始・解除</h3>

<p><strong>契約の開始</strong></p>

<p>雇用契約は新入社員が指定された勤務開始日に出勤した時点で成立します。</p>

<p>新入社員が出勤しなかった場合：</p>

<ul>
<li>雇用関係が開始されていないため、EAは適用されない</li>
<li>雇用主は、EAが適用されるの予告手当や補償金を請求することはできない</li>
<li>雇用主からの賠償請求は、</li></ul>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporulao-dong-fa-gu-yong-yao-xiang/</link><guid isPermaLink="false">786747e7-ced6-4c01-b658-135ddd4dec4f</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Thu, 10 Mar 2022 10:15:23 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>前回は、シンガポールにおける公正な採用活動に関するルールと、その留意点についてご紹介しました。</p>

<p>従業員の採用が決まったら、次は採用時とその後の雇用に必要な書類の準備と手続きを行います。今回は、企業が従業員を雇用する際に法律上作成が義務付けられている書類と、その他の重要なポイントについて説明します。</p>

<h3 id="">雇用契約書</h3>

<p>雇用契約（英語：Contract of Service）は、雇用条件など、雇用主と従業員の関係を定義するものです。労働時間や職務の範囲など、主要な雇用条件や必須条項が含まれていなければなりません。</p>

<p>契約は、書面、口頭、明示、黙示のいずれでも可能です。任命書や雇用契約書、実習契約書などの形式も可能です。しかし、合意した条件についての紛争を最小限に抑えるため、契約は書面で行うことが強く推奨されます。</p>

<p>また、契約の条件が労働法（EA）の関連規定より不利な場合、その条件は違法、無効とみなされます。無効な条項がある場合、EAの規定がその特定の契約条件より優先されます。雇用主は、従業員が書面で同意しない限り、雇用契約のいかなる条件も変更することはできません。</p>

<h3 id="">雇用契約開始・解除</h3>

<p><strong>契約の開始</strong></p>

<p>雇用契約は新入社員が指定された勤務開始日に出勤した時点で成立します。</p>

<p>新入社員が出勤しなかった場合：</p>

<ul>
<li>雇用関係が開始されていないため、EAは適用されない</li>
<li>雇用主は、EAが適用されるの予告手当や補償金を請求することはできない</li>
<li>雇用主からの賠償請求は、弁護士を通した民事上の請求になる</li>
</ul>

<p><strong>契約の解除</strong></p>

<p>雇用主と従業員は、双方ともに雇用契約を終了させる権利があります。しかし、、雇用契約に記載された解雇の条件に従わう必要があります。</p>

<p><strong>雇用期間</strong></p>

<p>従業員の勤続年数は、試用期間後の確定日ではなく、勤務開始日から計算されます。</p>

<h3 id="kets">主要な雇用条件（KETs）</h3>

<p>すべての雇用主は、以下の要件をすべて満たす従業員に対し、Key Employment Terms（略称：KETs）と呼ばれる重要な雇用条件のリストを書面で交付しなければなりません。</p>

<ul>
<li>2016年4月1日以降に雇用契約を締結する</li>
<li><a href="https://telescopium.stellato.blog/singaporunolao-dong-fa-eanoshao-jie/">EAの適用を受ける</a></li>
<li>14日以上雇用されている（勤務日数ではなく、契約期間のことを指す）</li>
</ul>

<p>雇用主は、雇用開始後14日以内にKETsのコピーを従業員に提供しなければなりません。KETsはデジタルもしくは紙面で、渡すことができ、手書きのコピーでも構いません。休暇や医療給付などの一般的なKETsは、通常、従業員ハンドブックや社内の共有サーバーに記載されています。</p>

<p>KETsは以下の項目を含む必要があります。しかし、EAに従い、従業員に適用されない場合は、項目を除外することができます。（例：残業代や固定手当を適用されない従業員がいます。）</p>

<ol>
<li>雇用主のフルネーム <br>
→例：会社名、人名</li>
<li>従業員の氏名  </li>
<li>従業員の職種、主な職務および責任  </li>
<li>雇用開始日  </li>
<li>雇用期間（有期契約の場合）  </li>
<li>労働条件 <br>
→1日の労働時間、労働日数、休息日など</li>
<li>給与支払期間  </li>
<li>基本給  </li>
<li>固定手当  </li>
<li>固定給与控除  </li>
<li>残業代支払期間（第7項給与支払期間と異なる場合）  </li>
<li>残業代  </li>
<li>その他の給与関連項目 <br>
→例：ボーナス、インセンティブなど</li>
<li>休暇の種類と日数 <br>
→例：年次有給休暇、通院休暇、入院休暇、産前産後休暇、育児休暇など</li>
<li>医療給付 <br>
→例：保険、医療給付、歯科給付など</li>
<li>従業員の試用期間  </li>
<li>解雇予告  </li>
<li>(任意）勤務地 <br>
→勤務地が雇用主の住所と異なる場合は、その旨を記載すること。任意ではあるが、この情報を記載することを強く推奨している</li>
</ol>

<h3 id="">試用期間</h3>

<p>EAには、従業員の試用期間に関する条文はありません。EAに反する条件がない限り、試用期間は雇用主が決定し、雇用前に従業員に渡されるオファーレターまたは雇用契約書のいずれかに明記されます。</p>

<p>シンガポールでは、新入社員の業績と適性を評価するために、3ヶ月から6ヶ月の試用期間を設けることが一般的です。</p>

<h3 id="">雇用記録</h3>

<p>2016年4月1日より、すべての雇用主はEAの対象となる従業員の詳細な雇用記録を保持する必要があります。</p>

<p>以下、どのような項目を記載し、どれくらいの期間保存すれば良いかなど、詳細な要件について説明します。</p>

<p><strong>記録条件</strong></p>

<ul>
<li>フォーマット：デジタルまたはハードコピー</li>
<li>記録保持期間：
現職の方の場合：直近2年分。
元従業員の場合：過去2年分、退職後1年間保管す</li>
</ul>

<p><strong>記録内容</strong></p>

<p>記録は2つのカテゴリーに分かれています：</p>

<ul>
<li>従業員の記録</li>
<li>給与記録</li>
</ul>

<p><strong>従業員の記録</strong>には、以下の項目が必要です：</p>

<ol>
<li>住宅住所  </li>
<li>NRIC番号（シンガポール市民番号） <br>
→非市民の場合は、ワークパス番号と有効期限</li>
<li>生年月日  </li>
<li>性別  </li>
<li>入社年月日  </li>
<li>退社日（元従業員の場合）  </li>
<li>労働時間（食事・休憩時間を含む）  </li>
<li>休日および休暇の取得日およびその内容</li>
</ol>

<p><strong>給与記録</strong>には、以下の項目が必要です：</p>

<ol>
<li>雇用主名  </li>
<li>従業員の氏名  </li>
<li>給与の支払日（給与明細が複数の支払日をまとめている場合は、その日付）  </li>
<li>基本給 <br>
→時間給、日給、出来高払いの労働者の場合、すべてを記入する：基本給（例：時給Xドル）、総労働時間または総労働日数、あるいは総生産個数</li>
<li>給与計算期間の開始日および終了日  </li>
<li>給与期間に支払われる手当（該当する場合） <br>
→交通費などのすべての固定費 、すべての臨時手当（例：単発の制服手当）</li>
<li>その他、各給与期間に支払われる追加の支払いなど（該当する場合） <br>
→例：ボーナス、休息日手当、祝日手当</li>
<li>給与期間ごとに行われる控除 <br>
→すべての固定控除（例：従業員のCPF拠出金）、すべての臨時控除（例：無給休暇、欠勤控除など）</li>
<li>残業時間  </li>
<li>残業代  </li>
<li>残業代計算期間の開始日と終了日（第5項が異なる場合）  </li>
<li>支払給与の合計額</li>
</ol>

<p>上記の給与記録の項目は、従業員に渡される給与明細と同じです。</p>

<p>References： <br>
<a href="https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968">https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968</a> <br>
<a href="https://www.mom.gov.sg/employment-practices">https://www.mom.gov.sg/employment-practices</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポールの労働法〜公正な採用〜」]]></title><description><![CDATA[<p>前回のレポートでは、シンガポールの雇用法（EA)について簡単にご紹介しました。今回のレポートからは、EAの具体的な内容などについて、より深く掘り下げてご紹介していきます。</p>

<p>会社を設立するとき、その最初のステップとなるのが、ビジネスのための人材を確保することです。シンガポールでは、現地人であれ外国人であれ、従業員を雇用する際に、会社が考慮すべき点がいくつかあります。これは、雇用者と被雇用者双方の利益を守り、会社が法律に触れることがないようにするためです。</p>

<h3 id="">公正な採用選考</h3>

<p>日本と同様、シンガポールの企業も採用活動において公正な選考を行うことが求められています。企業は、能力（スキル、経験、職務遂行能力など）に基づき厳格に採用選考を行うべきであり、以下の事項に基づいて応募者を差別してはならないことが強く求められています。</p>

<ul>
<li>年齢</li>
<li>性別</li>
<li>人種</li>
<li>宗教</li>
<li>配偶者の有無と扶養家族を持つ</li>
<li>障害</li>
</ul>

<p>公正な採用を確実にするために、3つの組織が連携して「Tripartite Alliance for Fair Progressive Employment（略称：TAFEP）」（公正で進歩的な雇用慣行のための三者同盟）という機関を設立しました。この三者同盟の加盟組織は、「Ministry of Manpower （略称：</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporunolao-dong-fa-gong-zheng-nacai-yong/</link><guid isPermaLink="false">0030e714-a7b5-4f14-87d4-a226e353ccba</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Fri, 25 Feb 2022 09:59:56 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>前回のレポートでは、シンガポールの雇用法（EA)について簡単にご紹介しました。今回のレポートからは、EAの具体的な内容などについて、より深く掘り下げてご紹介していきます。</p>

<p>会社を設立するとき、その最初のステップとなるのが、ビジネスのための人材を確保することです。シンガポールでは、現地人であれ外国人であれ、従業員を雇用する際に、会社が考慮すべき点がいくつかあります。これは、雇用者と被雇用者双方の利益を守り、会社が法律に触れることがないようにするためです。</p>

<h3 id="">公正な採用選考</h3>

<p>日本と同様、シンガポールの企業も採用活動において公正な選考を行うことが求められています。企業は、能力（スキル、経験、職務遂行能力など）に基づき厳格に採用選考を行うべきであり、以下の事項に基づいて応募者を差別してはならないことが強く求められています。</p>

<ul>
<li>年齢</li>
<li>性別</li>
<li>人種</li>
<li>宗教</li>
<li>配偶者の有無と扶養家族を持つ</li>
<li>障害</li>
</ul>

<p>公正な採用を確実にするために、3つの組織が連携して「Tripartite Alliance for Fair Progressive Employment（略称：TAFEP）」（公正で進歩的な雇用慣行のための三者同盟）という機関を設立しました。この三者同盟の加盟組織は、「Ministry of Manpower （略称：MOM）」（シンガポール労働省）；「National Trades Union Congress（略称：NTUC）」（全国労働組合会議）；「Singapore National Employers Federation（略称：SNEF）」（全国雇用者連盟）です。</p>

<p>TAFEPは、公正で責任ある先進的な雇用慣行の導入を促進することを目的としており、シンガポールの企業が遵守すべき一連のガイドラインを提示しています。雇用主がガイドラインに違反したり、採用プロセスで差別を行ったことが判明した場合、MOMはその企業に対して措置を講じ、罰則が適用される可能性があります。</p>

<h3 id="">求人活動のガイドライン</h3>

<p>TAFEPのガイドラインのひとつに、「求人活動に関するガイドライン」があります。</p>

<p>企業は、求人活動が公正で、年齢、性別、人種、宗教、配偶者の有無、家族構成、障害などに基づいて応募者を差別するものでないことを確認する必要があります。</p>

<p>求人広告に選考基準を記載する場合には、候補者の資格、スキル、知識、経験などに関連したものであることを確認します。。実際に、求人広告の説明文に含まれる差別的な表現を自動的に検出し、投稿が承認される前に広告文の修正を促す主要求人広告サイトもあります。</p>

<p>下記は、求人広告に差別的な表現が含まれていないことを保証するために、公正な雇用主として何をしなければならないかを示したガイドラインです。また、面接の際にも、同様のポイントに注意する必要があります。</p>

<p><strong>年齢</strong></p>

<ul>
<li>一般的に、年齢を選考基準として用いることは避けるべき</li>
<li>ただし、その仕事が法律や規制の要件に縛られている場合は、求人広告に前もってその旨を記載することができる</li>
<li>高齢者の雇用機会を向上させる国家的な取り組みを支援する為に、高齢者に適した仕事であると述べることもできる</li>
<li>身体的な負担が大きい仕事の場合は、仕事内容にその旨を明記し、特定の年齢層を示すことは避ける</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-1-1.png" alt=""></p>

<p><strong>性別</strong></p>

<ul>
<li>性別を選考基準にするのは避けるべき </li>
<li>実務的な要件が含まれる場合は、その理由を明確に記載すること</li>
<li>性別にこだわった名称の職種（例：Cameraman／カメラマン）は、「男女とも応募可能」と記載する</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-2-1.png" alt=""></p>

<p><strong>人種</strong></p>

<ul>
<li>人種を選考基準として用いることは避けるべき</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-3-1.png" alt=""></p>

<p>シンガポールは多民族国家であり、人種間の調和を重視する社会であるため、いかなる形の人種差別も許されません。</p>

<p>ある人種が他の人種よりも仕事で優れたパフォーマンスを発揮できると決めつける理由はないはずです。特定の人種がその仕事に適していることをほのめかすことで、会社は当局や一般市民とトラブルになる可能性があります。</p>

<p><strong>宗教</strong></p>

<ul>
<li>宗教を基準として用いることは避けるべき</li>
<li>職務上、宗教的機能の遂行または宗教的認定基準の達成が必要な場合、その要件を明確、客観的、かつ繊細に提示する</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-4-1.png" alt=""></p>

<p><strong>言語</strong></p>

<ul>
<li>特定の言語能力を必要とする職務の場合、その理由を明確に明示する</li>
<li>求人広告と広告媒体の言語が同じであることを確認する（例：英語の求人サイトに英語の求人広告を掲載する）</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-5-1.png" alt=""></p>

<p>シンガポールは多国籍企業が多い国なので、語学力が求人条件に含まれることも少なくありません。しかし、語学力が国籍や人種と同等であると誤解されることがあってはならないし、求人広告でそれを示唆するようなこともあってはならないです。</p>

<p>語学力は時間と経験によってのみ向上するため、企業は語学力要件に関して柔軟に対応することが推奨されます。</p>

<p><strong>国籍</strong></p>

<ul>
<li>国籍を選考基準として用いることは避けるべきである</li>
<li>特に、外国人を優遇するような言葉や言い回しは使用しない</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-6-1.png" alt=""></p>

<p>国籍が選考基準になることは避けるべきですが、求人条件に「シンガポール人のみ」と明記することは問題ないとされています。</p>

<p>なぜなら、シンガポールで外国人を雇用するとなると、最低賃金や枠、法律など、制限や要件があるからです。つまり、企業は最低賃金を下回る職種に外国人を採用することができなくなります。また、会社に外国人を採用するための枠がない場合もあります。</p>

<p>また、政府はシンガポール人の採用を積極的に推進しているので、そのように表示しても問題ありません。</p>

<p><strong>配偶者の有無と扶養家族を持つ</strong></p>

<ul>
<li>配偶者の有無や扶養家族を持つを選考基準にしない</li>
</ul>

<p>例：
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-6_Picture-7-1.png" alt=""></p>

<p>扶養家族を持つ候補者が仕事の要件を満たせないと決めつけるべきではありません。その代わり、広告には仕事の条件を明記し、候補者がその仕事に適しているかどうかを判断できるようにします。</p>

<h3 id="">筆者考察</h3>

<p>シンガポールで採用（あるいは一般的な事業運営）を行う場合、その国の背景や社会を理解し、敏感になることが重要です。シンガポールでは家族に関する要因（例：家柄、家庭環境、戸籍など）で不適切な採用選考が行われることは少ないです。逆に、シンガポール人に対する公平性やシンガポール人内での公平性を重視しています。これは、シンガポールの文化的、経済的な事情によるものです。</p>

<p>シンガポールは人種、宗教、背景が異なる人々が暮らす国なので、社会の調和とバランスを保つために、すべての人々に公平に仕事の機会を与えることが非常に重要です。そのため、どのような人にも差別的な機会を与えてはならないことが常に強調されています。</p>

<p>また、開放的なビジネス環境とビジネスフレンドリーな政策により、シンガポールには多くの多国籍企業が進出しています。そのため、コロナが蔓延する以前は、外国人労働者が大量に流入し、多国籍企業が自国民を優先することにシンガポール国民の不満が募っていました。この問題に対応するため、政府は新たな機関を設置し、企業向けの新しいガイドラインを随時発表しています。また、外国人を雇用する際の要件や制限も、時代とともにますます高くなってきています。様々な理由により、上記のような指摘がガイドラインに具体的に盛り込まれています。</p>

<p>実際、求職者が不当な差別的求人広告や採用活動をTAFEPに報告するための簡単で便利な報告ルートが用意されていることは特筆すべきことです。TAFEPは、このような報告があった場合、問題の是正に迅速に対応しています。そのため、企業が採用活動のどの段階においても、このガイドラインを熟知しておくことは、万一の事態を避けるために非常に重要です。</p>

<p>References： <br>
<a href="https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968">https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968</a> <br>
<a href="https://www.tal.sg/tafep">https://www.tal.sg/tafep</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポールの労働法〜EAの紹介」]]></title><description><![CDATA[<p>シンガポールのすべての企業が遵守しなければならない多くの法的要件のひとつは、雇用関連の法律です。そのため、企業や個人にとって、雇用主や従業員としての権利や義務を理解するために、雇用法やその他の関連法規に精通していることは非常に重要なことです。</p>

<p>この新シリーズでは、労働法の主要部分と、それに関連する知っておくべき事柄を簡単に紹介・解説していきます。</p>

<h3 id="ea">EAとは</h3>

<p>「Employment Act（略称：EA）」 は、シンガポールの労働法です。一部の例外を除き、すべての種類の従業員の基本的な条件と労働条件を規定しています。</p>

<p>EAは1968年8月15日に初めて制定・施行され、1971年までにシンガポールから英国軍が撤退することによって起こるであろう経済的影響に備えるために、政府が計画した取り組みの一つでした。その目的は、職業や肩書きに関係なく、すべての従業員の雇用条件を標準化し、規制することです。この法律はまた、特定の差別の廃止、時間外労働の乱用の排除による給与体系の合理化、過度な人員削減手当からの産業と企業の保護を目的としていました。</p>

<p>長年にわたり、EAは時代の変化に合わせて何度も見直され、改正されてきました。直近のEAの大きな改正は2019年にありました。2019年4月1日から施行された改正点は以下の通りです。</p>

<ul>
<li>EAははすべての従業員を対象とする（例外あり）
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-5_Picture-1.png" alt=""></li>
<li>EAのPart IVは、より多くの非労働者をカバーする
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-5_Picture-2.png" alt=""></li>
<li>不当解雇の請求はEmployment Claims Tribunals (ECT)で審理される
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-5_Picture-3.png" alt=""></li>
</ul>

<h3 id="">適用対象者</h3>

<p>雇用主の雇用契約に基づいて働くすべての従業員は、EAの適用対象となります。これには、</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporunolao-dong-fa-eanoshao-jie/</link><guid isPermaLink="false">ae4950d4-2b37-4ca0-b37a-6ee224d21961</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Wed, 09 Feb 2022 08:23:04 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>シンガポールのすべての企業が遵守しなければならない多くの法的要件のひとつは、雇用関連の法律です。そのため、企業や個人にとって、雇用主や従業員としての権利や義務を理解するために、雇用法やその他の関連法規に精通していることは非常に重要なことです。</p>

<p>この新シリーズでは、労働法の主要部分と、それに関連する知っておくべき事柄を簡単に紹介・解説していきます。</p>

<h3 id="ea">EAとは</h3>

<p>「Employment Act（略称：EA）」 は、シンガポールの労働法です。一部の例外を除き、すべての種類の従業員の基本的な条件と労働条件を規定しています。</p>

<p>EAは1968年8月15日に初めて制定・施行され、1971年までにシンガポールから英国軍が撤退することによって起こるであろう経済的影響に備えるために、政府が計画した取り組みの一つでした。その目的は、職業や肩書きに関係なく、すべての従業員の雇用条件を標準化し、規制することです。この法律はまた、特定の差別の廃止、時間外労働の乱用の排除による給与体系の合理化、過度な人員削減手当からの産業と企業の保護を目的としていました。</p>

<p>長年にわたり、EAは時代の変化に合わせて何度も見直され、改正されてきました。直近のEAの大きな改正は2019年にありました。2019年4月1日から施行された改正点は以下の通りです。</p>

<ul>
<li>EAははすべての従業員を対象とする（例外あり）
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-5_Picture-1.png" alt=""></li>
<li>EAのPart IVは、より多くの非労働者をカバーする
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-5_Picture-2.png" alt=""></li>
<li>不当解雇の請求はEmployment Claims Tribunals (ECT)で審理される
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2022/02/Report-5_Picture-3.png" alt=""></li>
</ul>

<h3 id="">適用対象者</h3>

<p>雇用主の雇用契約に基づいて働くすべての従業員は、EAの適用対象となります。これには、現地従業員（シンガポール国籍または永住権保有者）と外国人従業員の両方が含まれます。</p>

<p>就労ビザを持つ外国人従業員は、雇用主の責任と義務を定めた「Employment of Foreign Manpower Act (略称：EFMA)」（外国人労働法）の適用を受けます。</p>

<p>従業員は、以下の条件で雇用することができます。</p>

<ul>
<li>フルタイム</li>
<li>パートタイム（週35時間未満で働く）</li>
<li>一時的な雇用</li>
<li>契約型雇用</li>
</ul>

<p>また、パートタイム従業員には、休日、祝日、時間外手当、休暇などの権利について、別の規則が適用されます。</p>

<p>従業員の給与は、以下の基準で計算し、支払うことができます。</p>

<ul>
<li>時間給</li>
<li>日当</li>
<li>月給</li>
<li>出来高給</li>
</ul>

<h3 id="">例外事項</h3>

<p>EAはすべての従業員を対象としていると言われましたが、これにはいくつかの例外があります。</p>

<p>次のような方は、EAの対象外となります。</p>

<ul>
<li>船員</li>
<li>家事労働者</li>
<li>官公庁職員または公務員</li>
<li>軍関係</li>
</ul>

<p>上記の労働者は、別の法律が適用されるか、または雇用条件が雇用契約に従っています。</p>

<p><strong>Part IV</strong>
EAにはPart IVという項目があり、従業員の休息日、労働時間、その他の勤務条件に関する規定が含まれています。</p>

<p>本項は、以下の方にのみ適用されます。</p>

<ul>
<li>基本月給がSGD4,500以下の労働者（肉体労働者）</li>
<li>基本月給がSGD2600以下の非労働者</li>
</ul>

<p>すべての管理職と役員は、月給に関係なく、雇用法のPart IVの適用対象外となります。</p>

<p>Part IVの詳細や条件については、今後のレポートにてご紹介します。</p>

<h3 id="">筆者考察</h3>

<p>シンガポールと日本では労働法に多くの違いがあります。これらの違いは、具体的な用語だけでなく、その方針にも違いがあります。シンガポールに働きに来た外国人は、規制が不明瞭であることなため気づき、混乱することがあります。実際、外国人だけでなく、現地の人の多くも雇用法のすべての条件を完全に理解しているわけではありません。</p>

<p>EAに違反した場合、罰則があり、刑事罰になることもあります。罰金や外国人就労権限の取り消しから、重大な場合は懲役刑まで、さまざまな罰則があります。当然ながら、「知らなかった」は法律で認められた言い訳ではありません。そのため、雇用主か被雇用者かに関わらず、雇用法を知っておくことが重要です。</p>

<p>また、EAは曖昧な部分もあれば、厳しい部分もあるのが面白いところです。EAが従業員の利益を守るために十分な役割を果たしていないと感じる人もいれば、企業にとって遵守するのが難しすぎる規則もあります。</p>

<p>しかし、一般的にEAは特定の側（雇用者、被雇用者）に傾くことなく、すべての関係者にとって公平であること、少なくともすべての関係者が妥協できる中間点を見つけることを目指していると感じています。この点については、今後のレポートでさらに詳しく触れたいと思います。</p>

<p>References <br>
<a href="https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968">https://sso.agc.gov.sg/Act/EmA1968</a> <br>
<a href="https://www.mom.gov.sg/employment-practices/employment-act">https://www.mom.gov.sg/employment-practices/employment-act</a> <br>
<a href="https://eresources.nlb.gov.sg/history/events/73b9f60e-9252-4b7a-9bcc-e91ee59bdba5">https://eresources.nlb.gov.sg/history/events/73b9f60e-9252-4b7a-9bcc-e91ee59bdba5</a> <br>
<a href="https://www.mom.gov.sg/-/media/mom/documents/speeches/2018/guide-to-employment-act-changes-1-april-2019.pdf">https://www.mom.gov.sg/-/media/mom/documents/speeches/2018/guide-to-employment-act-changes-1-april-2019.pdf</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポールのケア経済」]]></title><description><![CDATA[<p>前回までのレポートで、シンガポールの「デジタル経済」と「グリーン経済」をご紹介しました。今回のレポートでは、最後の新興分野「ケア経済」を紹介します。これまでの2つの新興分野が経済を対象としているのとは異なり、ケア経済は主にシンガポールの社会や人々に直接利益がもたらされることを目的としています。</p>

<h3 id="">ケア経済の定義</h3>

<p>人間の健康と可能性をサポートするケア、ウェルネス、ラーニングサービスのネットワークを総称して「ケア経済」と呼びます。</p>

<p>世界的に見ても、ケア経済は最も急速に拡大している経済分野の一つであり、雇用や経済成長・発展に大きく寄与しています。</p>

<p>また、COVID−19はこの流れをさらにあと押しし、ケアエコシステムの強化の必要性を加速させています。2020年発行のレポートでは、2022年までに新興の職業における求人の40％近くが、ケア経済で行われるようになると予測されていました。</p>

<h3 id="">シンガポールケア経済</h3>

<p>シンガポールのケア経済とは、現在および未来の人々の育成と教育に関わるケアとサポートサービスを提供する専門的な仕事とスキルの集まりを指します。</p>

<p>生活の様々な場面でデジタル化された新しい規範に適応していく中で、社会的・情緒的なニーズを維持するために、人と人との交流はますます重要になっていきます。これは、ケア経済を生み出し、ヘルスケア、ウェルネス、行動社会学、児童、高齢者介護におけるケア経済の仕事とスキルの重要性を煽っています。</p>

<h3 id="">ケア経済戦略</h3>

<p>ケア経済で急成長しているいくつかの分野に関して、シンガポールが掲げる目標とアクションは以下のとおりです。</p>

<p><strong>Healthcare（医療）</strong></p>

<p>ケア経済の大きな特徴のひとつは医療産業です。</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporunokeajing-ji/</link><guid isPermaLink="false">23b1c0f8-d679-4310-be74-9d064ec80623</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Tue, 25 Jan 2022 09:51:26 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>前回までのレポートで、シンガポールの「デジタル経済」と「グリーン経済」をご紹介しました。今回のレポートでは、最後の新興分野「ケア経済」を紹介します。これまでの2つの新興分野が経済を対象としているのとは異なり、ケア経済は主にシンガポールの社会や人々に直接利益がもたらされることを目的としています。</p>

<h3 id="">ケア経済の定義</h3>

<p>人間の健康と可能性をサポートするケア、ウェルネス、ラーニングサービスのネットワークを総称して「ケア経済」と呼びます。</p>

<p>世界的に見ても、ケア経済は最も急速に拡大している経済分野の一つであり、雇用や経済成長・発展に大きく寄与しています。</p>

<p>また、COVID−19はこの流れをさらにあと押しし、ケアエコシステムの強化の必要性を加速させています。2020年発行のレポートでは、2022年までに新興の職業における求人の40％近くが、ケア経済で行われるようになると予測されていました。</p>

<h3 id="">シンガポールケア経済</h3>

<p>シンガポールのケア経済とは、現在および未来の人々の育成と教育に関わるケアとサポートサービスを提供する専門的な仕事とスキルの集まりを指します。</p>

<p>生活の様々な場面でデジタル化された新しい規範に適応していく中で、社会的・情緒的なニーズを維持するために、人と人との交流はますます重要になっていきます。これは、ケア経済を生み出し、ヘルスケア、ウェルネス、行動社会学、児童、高齢者介護におけるケア経済の仕事とスキルの重要性を煽っています。</p>

<h3 id="">ケア経済戦略</h3>

<p>ケア経済で急成長しているいくつかの分野に関して、シンガポールが掲げる目標とアクションは以下のとおりです。</p>

<p><strong>Healthcare（医療）</strong></p>

<p>ケア経済の大きな特徴のひとつは医療産業です。</p>

<p>高齢化が進むシンガポールでは、患者さん一人ひとりの医療ニーズや病歴に対応するパーソナライズドケアが重要となっています。患者ケアの提供、教育、体験に本質的な変化をもたらすために、関連スキルを持つ医療専門家が求められています。また、コロナ大流行により、シンガポールのヘルスケア産業の不十分さが露呈し、改善の必要性と緊急性をさらに高めています。</p>

<p>シンガポールの医療産業のビジョンは、国民が健康で長生きし、安心して暮らせる健康国家を目指すことです。</p>

<p>その為に、下記のような戦略を立てました。</p>

<p>1) 職業とスキル進化</p>

<ul>
<li>高齢者介護のためのローカルの人々をより多く引きつけ、新しいスキルを開発する</li>
<li>ローカルの中堅社員が医療業界に参入するための複数のパスを提供する</li>
<li>コミュニティ看護を発展させ、看護師のレベルアップの機会を提供する</li>
<li>将来、即戦力となる人材を育成するため、職務の再設計とスキルアップを強化する</li>
</ul>

<p>2) 生産性の向上</p>

<ul>
<li>医療従事者が患者ケアにより集中できるように、ワークフローを効率化する</li>
<li>特に高齢化した労働者の仕事を軽くするために、支援機器や費用対効果の高い技術を拡大する</li>
</ul>

<p>3) イノベーション</p>

<ul>
<li>革新的で患者中心のソリューションを導入し、新しい病院にて展開する</li>
<li>様々なスキームを通じて、サービス提供への有意義な民間企業の参加を奨励する</li>
<li>テクノロジーで患者のケアを強化する</li>
<li>医療記録をデジタル化し、すべての医療従事者をつなぐ</li>
</ul>

<p><strong>Community Care（コミュニティーケア）</strong></p>

<p>シンガポールは、今後20年間で急速に高齢化が進むと予想されています。2030年には、約100万人のシンガポール人が65歳以上になると言われています。</p>

<p>その為、コミュニティーケアは医療従事者を補完する重要な役割を担っています。デイケアセンターや自宅など、介護のしやすい場所での高齢者生活を可能にすることが期待されています。</p>

<p>シンガポールは、ケア経済におけるコミュニティケアについて、以下のようなビジョンを掲げています。</p>

<ul>
<li>高齢者の支援に積極的に取り組み、社会的孤立や体調不良の問題をより効果的に先取りする</li>
<li>低所得者や虚弱者だけでなく、高齢者にも広くサービスを提供する</li>
<li>高齢者をサポートするための社会的・健康的支援を織り交ぜた統合的なサービスを提供する</li>
</ul>

<p>そのためには、さまざまな関係者が強力に連携し、高齢者にタイムリーかつ協調的な支援を提供するネットワークシステムを確保するとともに、家族や介護者が定期的に関わり、ケアの継続性を確保することが必要です。</p>

<p><strong>Social Service（社会福祉）</strong></p>

<p>シンガポールの社会福祉は、単なるニーズに応えるという過去とは大きく異なる進化を遂げています。現在の社会問題や人口動態が複雑化する中、社会サービス部門の専門家は、一人ひとりが尊厳のある生活を送り、その可能性を最大限に発揮できるよう、懸命に努力を続けています。</p>

<p>高齢化など人口動態の変化に伴い、ソーシャル シンガポールのサービス部門は、5つの分野で支援を必要としている人々をサポートするために成長してきました。</p>

<ul>
<li>子供・青少年</li>
<li>障がい者及び特別なニーズを持つ人々</li>
<li>家族・介護者</li>
<li>精神障害者</li>
<li>高齢者</li>
</ul>

<p>このような多様な社会集団にサービスを提供するために、社会福祉の専門家は常に最新の動向を把握し、コミュニティや他の専門家と分野を超えて常に協力し、全体的なサービスをデザインし提供する必要があります。</p>

<p><strong>Early Childhood Development（幼児教育）</strong></p>

<p>良い幼児教育は、子どもの発達に良い影響を与えます。幼児教育者は、多様な背景を持つ子どもたちが安心して学べる、育成的で包括的な環境を作るという重要な役割を担っています。</p>

<p>子供に全人的なケアを提供するためには、家族、地域社会、多職種の専門家の間で強力な協力体制が必要です。また、プロフェッショナルなレベルでは、教育者は自分のスキルを継続的に向上させるためにトレーニングや学習に従事することが奨励されています。</p>

<p>幼児教育産業を支援するため、シンガポールの社会家族開発省（MSF：Ministry of Social and Family Development）は2021年10月に新たなイニシアチブを発表しました。これらのイニシアチブは、幼児学校の質の向上、幼児教育者の専門的能力の開発、すべての子どもが良いスタートを切れるような支援とリソースの提供の強化に向けた政府の継続的な取り組みに基づいています。</p>

<p><strong>Training and Adult Education (TAE)（トレーニング・社会人教育）</strong></p>

<p>組織はスキルアップや新たに習得したスキルによって成長し、職場の効率を向上させるスキルを持つ人材を高く評価します。このように、TAE産業は、学習の伝達やスキルの効果的な習得を促進する上で重要な役割を担っています。</p>

<p>シンガポールでは、成人教育・訓練への投資を行うとともに、各業界のスキルニーズの高まりに対応した制度の拡充を図っています。</p>

<p>シンガポールにおける質の高い教育、トレーニング、人材育成の継続的な需要に応えるため、TAE業界の専門家は、以下のような分野でのトレーニングやさらなる学習を通じて、能力や専門性を向上させるよう常に奨励されています。</p>

<ul>
<li>社会人教育</li>
<li>人材育成</li>
<li>トレーニング管理</li>
<li>労働力開発</li>
</ul>

<h3 id="">結論</h3>

<p>シンガポールでは人口の高齢化が進み、育児や教育のニーズが絶えないため、ケア経済の重要性が高まっています。その結果、ケア経済に従事する労働者の需要が急速に高まっています。</p>

<p>社会のすべての人がケアされ、誰一人取り残されないようにするためには、ケア経済で必要とされる職業が満たされ、働く人々が十分なスキルを持つようにすることが必要です。</p>

<p>References</p>

<p><a href="https://www.skillsfuture.gov.sg/skillsreport">https://www.skillsfuture.gov.sg/skillsreport</a> <br>
<a href="https://www.weforum.org/reports/jobs-of-tomorrow-mapping-opportunity-in-the-new-economy">https://www.weforum.org/reports/jobs-of-tomorrow-mapping-opportunity-in-the-new-economy</a> <br>
<a href="https://www.youtube.com/watch?v=VrWYJF5CDto">https://www.youtube.com/watch?v=VrWYJF5CDto</a> <br>
<a href="https://www.mti.gov.sg/ITMs/Essential-Domestic-Services/Healthcare">https://www.mti.gov.sg/ITMs/Essential-Domestic-Services/Healthcare</a> <br>
<a href="https://www.csc.gov.sg/articles/transforming-community-care-in-2030">https://www.csc.gov.sg/articles/transforming-community-care-in-2030</a> <br>
<a href="https://www.moe.gov.sg/sgis/sponsoring-organisations/industries/social-services">https://www.moe.gov.sg/sgis/sponsoring-organisations/industries/social-services</a> <br>
<a href="https://www.msf.gov.sg/media-room/Pages/New-Initiatives-To-Support-Children-And-Early-Childhood-Sector.aspx">https://www.msf.gov.sg/media-room/Pages/New-Initiatives-To-Support-Children-And-Early-Childhood-Sector.aspx</a> <br>
<a href="https://www.ssg.gov.sg/wsq/Industry-and-Occupational-Skills/Training-and-Adult-Education-WSQ.html">https://www.ssg.gov.sg/wsq/Industry-and-Occupational-Skills/Training-and-Adult-Education-WSQ.html</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポールのグリーン経済」]]></title><description><![CDATA[<p>前回のレポートでは、シンガポールのデジタル経済について取り上げました。今回は、グリーン経済という新興分野を取り上げ、シンガポールの持続可能な経済発展への取り組みについて紹介します。</p>

<h3 id="">グリーン経済の定義</h3>

<p>国連は、「グリーン経済」を「低炭素、資源効率、社会的包摂」と定義しています。
簡単に言うと、環境に配慮し、限られた資源をできるだけ効率よく持続的に利用しながら、生活し、働き、成長を追求することがグリーン経済なのです。</p>

<h3 id="">シンガポールでのグリーン経済</h3>

<p>シンガポールは小さな都市国家であり、再生可能エネルギーを大規模に導入するための資源や土地、気候条件も整っていません。気候変動は国の存亡に関わる問題であり、そのため持続可能な開発は非常に重要視されています。</p>

<p>シンガポールはすでに長年にわたり、グリーンテクノロジーや低炭素代替エネルギーへの投資など、気候変動を緩和するための措置を講じてきました。</p>

<p>2021年2月、シンガポール政府は「シンガポール・グリーンプラン2030」を発表しました。これは、持続可能な開発に関するシンガポールの国家課題を推進するための国を挙げての運動です。この計画は、複数の政府機関が主導し、今後10年間におけるシンガポールのグリーン目標を描いています。</p>

<p>下記は、このプランの5つの柱です。</p>

<ul>
<li>自然の中の都市</li>
<li>エネルギーリセット</li>
<li>持続可能な生活</li>
<li>グリーン経済</li>
<li>レジリエントな未来</li>
</ul>

<p>グリーン経済の柱については、3つの重要な目標があります。</p>

<ol>
<li>既存の分野を変革し、脱炭素化を支援する  </li>
<li>新しい分野を開拓し、</li></ol>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporunogurinjing-ji/</link><guid isPermaLink="false">1ceb04e2-cf4d-4d57-93d6-c222d59f0395</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Tue, 18 Jan 2022 08:34:54 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>前回のレポートでは、シンガポールのデジタル経済について取り上げました。今回は、グリーン経済という新興分野を取り上げ、シンガポールの持続可能な経済発展への取り組みについて紹介します。</p>

<h3 id="">グリーン経済の定義</h3>

<p>国連は、「グリーン経済」を「低炭素、資源効率、社会的包摂」と定義しています。
簡単に言うと、環境に配慮し、限られた資源をできるだけ効率よく持続的に利用しながら、生活し、働き、成長を追求することがグリーン経済なのです。</p>

<h3 id="">シンガポールでのグリーン経済</h3>

<p>シンガポールは小さな都市国家であり、再生可能エネルギーを大規模に導入するための資源や土地、気候条件も整っていません。気候変動は国の存亡に関わる問題であり、そのため持続可能な開発は非常に重要視されています。</p>

<p>シンガポールはすでに長年にわたり、グリーンテクノロジーや低炭素代替エネルギーへの投資など、気候変動を緩和するための措置を講じてきました。</p>

<p>2021年2月、シンガポール政府は「シンガポール・グリーンプラン2030」を発表しました。これは、持続可能な開発に関するシンガポールの国家課題を推進するための国を挙げての運動です。この計画は、複数の政府機関が主導し、今後10年間におけるシンガポールのグリーン目標を描いています。</p>

<p>下記は、このプランの5つの柱です。</p>

<ul>
<li>自然の中の都市</li>
<li>エネルギーリセット</li>
<li>持続可能な生活</li>
<li>グリーン経済</li>
<li>レジリエントな未来</li>
</ul>

<p>グリーン経済の柱については、3つの重要な目標があります。</p>

<ol>
<li>既存の分野を変革し、脱炭素化を支援する  </li>
<li>新しい分野を開拓し、グリーン経済におけるビジネス機会をつかむ手助けをする  </li>
<li>グリーン経済の仕事を担う人材を育成する</li>
</ol>

<h3 id="">グリーン経済戦略</h3>

<p><strong>既存の分野を変革し、脱炭素化を支援する</strong></p>

<ul>
<li>エネルギーと炭素の効率性において、企業が世界トップクラスの企業となることを支援する、的を絞ったインセンティブを導入しました。</li>
<li>エネルギー・化学分野は、持続可能性への注目の高まりにより、大きな変革期を迎えています。この分野は、炭素の回収、利用、貯蔵といった新たな低炭素技術の開発における重要なパートナーです。これらの技術は、大規模な脱炭素化を実現する上で極めて重要であり、シンガポールの長期的な気候変動対策の達成を支援する上で欠かせないものです。</li>
<li>2019年から炭素税が導入され、1トンあたりSGD5からスタートし、企業に排出量削減を促す価格シグナルを提供するとともに、適切な行動をとるための柔軟性を持たせています。適切な炭素税の水準は、企業が脱炭素技術に投資するインセンティブとなり、グリーン経済への移行を支援する投資を促進します。</li>
</ul>

<p><strong>新しい分野を開拓し、グリーン経済におけるビジネス機会をつかむ手助けをする</strong></p>

<ul>
<li>グリーン経済は新たな成長機会を提供し、シンガポールはカーボンサービスのハブとなる可能性があります。</li>
<li>世界が低炭素社会に移行するにつれ、企業は二酸化炭素排出量を管理するための専門知識を必要とします。そのため、シンガポールはプロジェクト開発、融資、炭素取引、低炭素アドバイザリーサービスなどの炭素関連サービスにおけるエコシステムを拡大しています。</li>
<li>企業は新たなチャンスを生かすための能力を構築する必要があります。シンガポール政府は、企業を支援するためのイニシアチブとプログラムを開始しました。</li>
</ul>

<p><strong>グリーン経済の仕事を担う人材を育成する</strong></p>

<ul>
<li>シンガポール政府は、労働組合や国民と協力し、グリーン経済に必要なスキルを労働者に身につけさせるための努力を続けていきます。</li>
<li>政府は学校や機関と協力し、グリーン経済に必要な技術的能力、スキル、知識を身につけるためのプログラムやトレーニングを開発しています。</li>
</ul>

<h3 id="2030">2030年の目標</h3>

<p>シンガポール政府は、2030年に向けて以下の目標を掲げています。</p>

<ul>
<li>エネルギーおよび炭素効率でトップクラスになるための新たな投資を模索する</li>
<li>ジュロン島を持続可能なエネルギー・化学パークになる</li>
<li>持続可能な観光地を目指す</li>
<li>アジアの低炭素で持続可能な未来への移行を促進するためのグリーンファイナンスとサービスのリーディングセンターになる</li>
<li>アジアにおけるカーボンサービスのハブになる</li>
<li>新しいサステナビリティ施策開発のための主要なリージョナルセンターになる</li>
<li>持続可能な社会の実現に向け、地元企業の育成に力を注ぐ</li>
</ul>

<p>References <br>
<a href="https://www.greenplan.gov.sg/">https://www.greenplan.gov.sg/</a> <br>
<a href="https://www.channelnewsasia.com/singapore/singapore-green-plan-2030-targets-10-years-1883021">https://www.channelnewsasia.com/singapore/singapore-green-plan-2030-targets-10-years-1883021</a> <br>
<a href="https://www.mti.gov.sg/Newsroom/Speeches/2021/10/Speech-by-Minister-Gan-Kim-Yong-at-the-MTI-Singapore-Green-Plan-Conversation">https://www.mti.gov.sg/Newsroom/Speeches/2021/10/Speech-by-Minister-Gan-Kim-Yong-at-the-MTI-Singapore-Green-Plan-Conversation</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「シンガポールのデジタル経済」]]></title><description><![CDATA[<p>前回の「今後のシンガポール経済で需要のあるスキル」レポートで3つの新興分野を紹介しましたが、そのうちの1つがデジタル経済です。今回、シンガポールのデジタル経済について、より深く掘り下げていきます。</p>

<h3 id="">デジタル経済の定義</h3>

<p>デジタル技術を活用したデジタル製品やサービス、デジタルプラットフォーム、ビジネス活動の生産と消費を広く包含しています。</p>

<h3 id="">シンガポールでのデジタル経済</h3>

<p>シンガポールは、世界トップクラスの技術主導型都市国家を目指しています。テクノロジーを活用し、人々や企業の生活、仕事、遊びのあり方を変える「スマート・ネーション」を目指して、自らを変革しています。</p>

<p>「スマートネーション」を目指すために、シンガポール政府は下記の3つの柱を定めています。</p>

<ul>
<li>デジタル社会</li>
<li>デジタル経済</li>
<li>デジタル政府</li>
</ul>

<p>デジタル経済は、最新のテクノロジーを活用してプロセスをデジタル化し、ビジネスの成長を促進するものです。その結果、海外からの投資を呼び込み、シンガポールの人々に新たな雇用と機会を創出できます。</p>

<p>シンガポールのビジネス環境、優れた技術インフラ、アジアの主要国との緊密な接続性、そして投資の可能性は、強力なデジタル経済を発展させるための好位置にあると言えます。</p>

<h3 id="">デジタル経済戦略</h3>

<p>シンガポールの強みを生かし、デジタル経済を発展させるために、3つの戦略的優先事項を掲げています。</p>

<ol>
<li>Accelerate：Digitalising Industries（加速する：産業のデジタル化） <br>
→　あらゆる産業、あらゆるビジネスをデジタル化し、</li></ol>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/singaporunodezitarujing-ji/</link><guid isPermaLink="false">b89818de-5562-46ef-8ff2-b1f144da0eb1</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Tue, 11 Jan 2022 08:56:58 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>前回の「今後のシンガポール経済で需要のあるスキル」レポートで3つの新興分野を紹介しましたが、そのうちの1つがデジタル経済です。今回、シンガポールのデジタル経済について、より深く掘り下げていきます。</p>

<h3 id="">デジタル経済の定義</h3>

<p>デジタル技術を活用したデジタル製品やサービス、デジタルプラットフォーム、ビジネス活動の生産と消費を広く包含しています。</p>

<h3 id="">シンガポールでのデジタル経済</h3>

<p>シンガポールは、世界トップクラスの技術主導型都市国家を目指しています。テクノロジーを活用し、人々や企業の生活、仕事、遊びのあり方を変える「スマート・ネーション」を目指して、自らを変革しています。</p>

<p>「スマートネーション」を目指すために、シンガポール政府は下記の3つの柱を定めています。</p>

<ul>
<li>デジタル社会</li>
<li>デジタル経済</li>
<li>デジタル政府</li>
</ul>

<p>デジタル経済は、最新のテクノロジーを活用してプロセスをデジタル化し、ビジネスの成長を促進するものです。その結果、海外からの投資を呼び込み、シンガポールの人々に新たな雇用と機会を創出できます。</p>

<p>シンガポールのビジネス環境、優れた技術インフラ、アジアの主要国との緊密な接続性、そして投資の可能性は、強力なデジタル経済を発展させるための好位置にあると言えます。</p>

<h3 id="">デジタル経済戦略</h3>

<p>シンガポールの強みを生かし、デジタル経済を発展させるために、3つの戦略的優先事項を掲げています。</p>

<ol>
<li>Accelerate：Digitalising Industries（加速する：産業のデジタル化） <br>
→　あらゆる産業、あらゆるビジネスをデジタル化し、生産性と効率性を高めて経済を成長させること</li>
<li>Compete：Integrating Ecosystems（競争する：エコシステムの統合） <br>
→　企業がデジタル技術を活用できるよう支援することで、企業が活気と競争力を維持し、シンガポールの競争力を研ぎ澄ますためのエコシステムを開発すること</li>
<li>Transform：Industrialising Digital（変革する：デジタルの産業化） <br>
→　Infocomm Media (ICM：情報通信メディア）産業がシンガポールのデジタル経済の重要な成長ドライバーとなるように変革すること</li>
</ol>

<p>上記の3つの戦略的優先事項は、4つの重要な手段で実現できます。</p>

<ol>
<li><p><strong>人材育成</strong> <br>
→ ICM の専門家を育成し、デジタル経済に挑戦するためのデジタルリテラシーを高める為に、スキルアップと再スキルを継続的に行う</p></li>
<li><p><strong>研究とイノベーション</strong> <br>
→ ロードマップを作成し、新しい技術開発の情報を提供することで、企業が最新の技術動向を把握するための競争力を提供する</p></li>
<li><p><strong>物理的・デジタル的インフラ</strong> <br>
→ テクノロジーの進化に伴い、シンガポールのインフラを強化し、デジタル接続を強化するために継続的に投資する</p></li>
<li><p><strong>ガバナンス、方針と基準</strong> <br>
→ 堅牢なデータプライバシー法、サイバーセキュリティ、データ保護、およびデータポリシーとAIなどの関連活動のガバナンスを継続的に調整する</p></li>
</ol>

<h3 id="">他国とのデジタル経済協定</h3>

<p>シンガポールはデジタル経済協定（DEA）を同じ志を持つ他の国々と結んでいます。</p>

<p>DEA (Digital Economy Agreement)とは、2つ以上の経済圏の間でデジタル貿易のルールやデジタルエコノミーの協力関係を確立するための条約です。シンガポールは主要パートナーとのDEAを通じて、標準やシステムの相互運用性を促進する国際的な枠組みを開発し、デジタル貿易や電子商取引に従事するのビジネス、特に中小企業を支援したいと考えています。</p>

<p>貿易のデジタル化に伴い、データのローカライズやソースコードの開示を強制するような規制が注目されています。また、データ保護に関する規則が細分化されたことで、個人データの転送に関する制約が多様化し、コンプライアンスコストが増加しています。</p>

<p>DEAは、以下のことを行います。</p>

<ul>
<li>デジタルルールと基準を整合させ、デジタルシステム間の相互運用性を促進する</li>
<li>国境を越えたデータの流れをサポートし、個人情報と消費者の権利を保護する</li>
<li>デジタルアイデンティティ、人工知能（AI）、データイノベーションなどの新興分野におけるシンガポールの経済パートナー間の協力の促進（これにより、企業はさまざまな国でユースケースやテクノロジーを試すことができるようになります。）</li>
</ul>

<p>DEAは、シンガポールの広範な自由貿易協定やその他のデジタル協力イニシアティブのネットワークを構築することを目的としています。また、世界貿易機関（WTO）において、シンガポールは電子商取引に関する共同声明イニシアチブ（JSI）の共同議長（オーストラリア、日本とともに）を務めており、その指導的役割も補完しています。</p>

<p>現在、シンガポールは4つのDEAに関する交渉を終えています。今後、シンガポールの方針に賛同する経済圏との交渉をさらに進めることを視野に入れています。</p>

<p><strong>Digital Economy Partnership Agreement (DEPA)</strong></p>

<ul>
<li>デジタル経済パートナーシップ協定</li>
<li>2020年6月12日、シンガポール、チリ、ニュージーランドが調印する</li>
<li>デジタル貿易問題における新たなアプローチと協力体制を確立し、異なる制度間の相互運用性を促進し、デジタル化がもたらす新たな問題に対処する初めての協定</li>
<li>DEPAは、エンドツーエンドのデジタル取引を促進し、信頼できるデータの流れを可能にし、これらの国々のデジタルシステムに対する信頼を構築する</li>
</ul>

<p><strong>Singapore-Australia Digital Economy Agreement (SADEA)</strong></p>

<ul>
<li>シンガポール－オーストラリアデジタル経済協定</li>
<li>2020年8月6日、シンガポールとオーストラリアが調印し、2020年12月8日に発効する</li>
<li>SADEAは、シンガポール・オーストラリア自由貿易協定に基づく、両国間の既存のデジタル貿易協定を強化するもの</li>
<li>AI、データイノベーション、デジタルアイデンティティ、個人情報保護、電子請求書、貿易円滑化、農産物の電子認証の分野における協力プロジェクトを特定またはマッピングすることにより、DEAのいくつかのモジュールを運用するための7つの覚書が含まれている</li>
</ul>

<p><strong>United Kingdom-Singapore Digital Economy Agreement (UKSDEA)</strong></p>

<ul>
<li>イギリスーシンガポールデジタル経済協定</li>
<li>2021年12月9日、シンガポールとイギリスが調印する</li>
<li>データなどのデジタル経済の基盤に関する拘束力のある分野に加え、人工知能、フィンテック、レグテック、デジタルアイデンティティ、リーガルテクノロジーなど、幅広い新興・革新分野における協力的な要素が含まれている</li>
</ul>

<p><strong>Korea-Singapore Digital Partnership Agreement (KSDPA)</strong></p>

<ul>
<li>韓国ーシンガポールデジタルパートナーシップ協定</li>
<li>2021年12月15日、シンガポールと韓国が調印する</li>
<li>この協定は、デジタルシステム間の相互運用性を促進するために、将来を見据えたデジタル取引のルールと規範を確立することにより、両国のデジタル経済における二国間協力を深化させるもの</li>
<li>これにより、よりシームレスな国境を越えたデータの流れが可能になり、我々の企業や消費者にとって信頼できる安全なデジタル環境を構築することができる</li>
</ul>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[「今後のシンガポール経済で重要な3つのキーワード」]]></title><description><![CDATA[<p>2021年12月8日（水）、SkillsFuture Singapore (SSG)を代表して、シンガポールの教育相チャン・チュンシンが第1回レポート（タイトル：Skills Demand For the Future Economy Report)を発表しました。</p>

<p><strong>SkillsFuture Singapore (SSG)とは</strong>　</p>

<p>2015年に始まった政府のキャリアサポート制度の総称で、シンガポール国民の生涯学習とスキル獲得の支援を目的としています。</p>

<p><strong>レポートの主な調査結果</strong></p>

<p>初回であるこのレポートでは、高成長が見込まれる3つの新興分野を厳選し、優先的に必要とされるスキルと職種にスポットを当てています。本レポートは、今後1～3年間における各個人の能力開発のためのリソースとして、シンガポールの人々に向けて作成されました。</p>

<p>これらの経済分野（「デジタル」「グリーン」「ケア」）でもたらされる新たな機会は、仕事のプロセスや職務の変化に影響を与える可能性があります。その結果、既存の仕事の内容やスキルプロファイルが変化し、同時に新しい仕事が生まれます。新しい機会を活用するために、雇用者と国民は、新興の分野における関連スキルの習得を優先させる必要があります。</p>

<p><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/12/Report-1_Picture-1.png" alt=""></p>

<p>3 つの経済が複数の部門にまたがる変革の原動力として広範な影響を及ぼしていることは、企業が同様の目的 のために変革を追求していることを意味します。 <br>
したがって、各経済分野の新たな発展を支えるために必要な一連の優先的スキルは、企業が目標達成のために同様のスキルを持つ労働者の需要を生み出すことで、</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/jiang-lai-nojing-ji-notamenixu-yao-saretasukiru-repoto/</link><guid isPermaLink="false">a15683b7-e9d2-446c-af02-4e324c9eb664</guid><dc:creator><![CDATA[Chermaine Ng]]></dc:creator><pubDate>Mon, 27 Dec 2021 08:46:08 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>2021年12月8日（水）、SkillsFuture Singapore (SSG)を代表して、シンガポールの教育相チャン・チュンシンが第1回レポート（タイトル：Skills Demand For the Future Economy Report)を発表しました。</p>

<p><strong>SkillsFuture Singapore (SSG)とは</strong>　</p>

<p>2015年に始まった政府のキャリアサポート制度の総称で、シンガポール国民の生涯学習とスキル獲得の支援を目的としています。</p>

<p><strong>レポートの主な調査結果</strong></p>

<p>初回であるこのレポートでは、高成長が見込まれる3つの新興分野を厳選し、優先的に必要とされるスキルと職種にスポットを当てています。本レポートは、今後1～3年間における各個人の能力開発のためのリソースとして、シンガポールの人々に向けて作成されました。</p>

<p>これらの経済分野（「デジタル」「グリーン」「ケア」）でもたらされる新たな機会は、仕事のプロセスや職務の変化に影響を与える可能性があります。その結果、既存の仕事の内容やスキルプロファイルが変化し、同時に新しい仕事が生まれます。新しい機会を活用するために、雇用者と国民は、新興の分野における関連スキルの習得を優先させる必要があります。</p>

<p><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/12/Report-1_Picture-1.png" alt=""></p>

<p>3 つの経済が複数の部門にまたがる変革の原動力として広範な影響を及ぼしていることは、企業が同様の目的 のために変革を追求していることを意味します。 <br>
したがって、各経済分野の新たな発展を支えるために必要な一連の優先的スキルは、企業が目標達成のために同様のスキルを持つ労働者の需要を生み出すことで、さまざまな業界にわたって転用可能になります。</p>

<p><strong>Digital Economy（デジタル経済）</strong></p>

<p>デジタル技術を活用したデジタル製品やサービス、デジタルプラットフォーム、ビジネス活動の生産と消費を広く包含しています。</p>

<p>デジタル化・デジタルサービスの急速な進展に伴い、旧来の慣習やビジネスモデルが問われています。シンガポールはデジタル・インフラの整備が大きく進み、家庭や企業におけるデジタル機能の導入が進みました。</p>

<p>多くの企業がデジタルトランスフォーメーションやテクノロジーの導入に乗り出す中、デジタルスキルは様々なセクターで役立つようになってきています。デジタル経済では、職務に応じて、さまざまな種類のスキルが必要です。</p>

<p>デジタル経済の職務は大きく2つに分けられます。</p>

<ul>
<li><p><strong>Tech-Lite:</strong> 専門的かつ高度なITスキルを必要とせず、基礎的なデジタルソリューションを業務で使用する職務です。これらの役割は、金融サービス、航空・海上輸送などのセクターで最も必要とされています。</p>

<p>　例：データアナリスト、デジタルマーケティングアナリスト、カスタマーインサイトスペシャリスト</p></li>
<li><p><strong>Tech-Heavy:</strong> より複雑な技術的ソリューションやアプリケーションの開発、実装、保守を担当する専門的な役割です。これらの職務は、主にICT、メディア、航空宇宙、陸上輸送などのセクターで求められています。</p>

<p>　例：ソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、AIエンジニア</p></li>
</ul>

<p>現在、デジタル経済の仕事は、ITMを持つ23のセクター全てで見られ、シンガポールにおける技術職の大半はTech-Liteとなっています。
（ITMはIndustry Transformation Mapーシンガポールの23の産業を対象としたロードマップを作成）</p>

<p>デジタル経済からの優先スキルの上位クラスターは、全体として以下のようにまとめられています。
<img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/12/Report-1_Picture-2.png" alt=""></p>

<p><strong>Green Economy（グリーン経済）</strong></p>

<p>国連は、「グリーン経済」を「低炭素、資源効率、社会的包摂」と定義しています。
簡単に言うと、環境に配慮し、限られた資源をできるだけ効率よく持続的に利用しながら、生活し、働き、成長を追求することがグリーン経済で、以下3タイプの成果のバランスを実現します。</p>

<ul>
<li><strong>環境面：</strong>環境資源の持続可能な利用、炭素排出量ゼロを目指す</li>
<li><strong>経済的成果：</strong>経済的・組織的資源の持続可能な利用</li>
<li><strong>社会的成果：</strong>資源の衡平な配分</li>
</ul>

<p>グリーン経済には、環境に有害な事業活動からをより環境に優しい事業活動に移行することにより、新しい事業機能を再構築および創出している企業が含まれます。</p>

<p>現在、ITMの17のセクターで、これらの優先スキルを必要とする450以上の職種があります。
これらのセクターは、製造業、貿易・流通業、情報通信技術（ICT）、金融サービス、接客業、建築環境など、多岐にわたっています。</p>

<p><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/12/Report-1_Picture-3.png" alt=""></p>

<p><strong>Care Economy（ケア経済）</strong></p>

<p>ケア経済とは、現在および将来の人口の育成と教育に関わるケアとサポートサービスを提供する、専門的な仕事とスキルの集合体を指します。</p>

<p>ケア経済は、高齢化社会、進化するケアへの要求、仕事と学習の未来によって推進されています。これは、健康を変革し保護し、人間の潜在能力を高め、生涯学習を教え込むという国家的な取り組みの一部です。これらの取り組みは、データを活用して、新しいケアモデル、教育と学習、健康とウェルネスに革新をもたらすものです。</p>

<p>これらのサービスを提供する部門を一般的に、ヘルスケア、ウェルネス、コミュニティケア、幼児教育、一般教育、トレーニングと成人教育などがあります。</p>

<p><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/12/Report-1_Picture-4.png" alt=""></p>

<p>References: <br>
<a href="https://www.skillsfuture.gov.sg/skillsreport">https://www.skillsfuture.gov.sg/skillsreport</a> <br>
<a href="https://www.mti.gov.sg/Resources/feature-articles/2017/The-Digital-Economy-in-Singapore">https://www.mti.gov.sg/Resources/feature-articles/2017/The-Digital-Economy-in-Singapore</a> <br>
<a href="https://www.mti.gov.sg/ITMs/Overview">https://www.mti.gov.sg/ITMs/Overview</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[新型コロナ禍でやり切ったテニス全豪オープン]]></title><description><![CDATA[<p>　２月２０日、メルボルンで行われたテニス全豪オープンの女子シングルス決勝で大坂なおみ選手が勝ち、二度目の全豪制覇を果たした。今大会、大坂選手のプレーはもちろん、その言動の成長ぶりに目を見張ったテニスファンは多かったのではないか。私もそんな一人だったが、同時に表彰式で沸き起こる観客席からの歓声に、別の意味で実に感慨深いものを感じた。<br></p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/BWLLgXsDJ6o" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">全豪オープン女子シングルス表彰式の様子<br><br></font></div></div>

<p>　試合後ロッドレーバーアリーナのコート上で、オーストラリアの往年のダブルスの名手トッド・ウッドブリッジ氏を司会に行われた表彰式。決勝戦の相手、ジェニファー・ブレイディ選手、続く大坂選手のスピーチに観客が大きく反応。彼女たちも歓声や拍手に応え、アリーナの一体感が増していることが映像からも伝わって来た。そして、写真撮影も終えて大坂選手が退場する際には、ファンが差し出すテニスボールやパンフレットにサインをするお決まりの光景が繰り広げられた。それは一見いつもと同じグランドスラムの表彰式の光景だった。しかし、それは私には半ば奇跡にも近い光景に見えた。<br></p>

<p>　<a href="https://telescopium.stellato.blog/corona-virus-victoria-amidst-lockdown/">昨年のブログ</a>にも書いたように、全豪オープンが開催されたメルボルンが州都のヴィクトリア州は、新型コロナ感染の第二派のダメージをオーストラリア国内で一番大きく受けた州で、夜間の外出禁止など厳しい行動規制が掛けられていた。この徹底的なウイルス封じ込め作戦が徐々に効果を見せ始め、同ブログを見返すと、9月１１日のヴィクトリア州の新規感染者数は３７名にまで減少。その後１０月に入ってからは１０台と一桁台をウロウロする状況が続きヴィクトリア州政府の発表をみんなが固唾を飲んで毎日待っているような状態だった。<br>
　そして、遂に１０月２６日、新規感染者数０、との発表がダン・アンドリューズ州首相からなされた。その日は終日メルボルン発のツイッターやフェイスブックの書き込みには０をドーナツに例え、🍩の絵文字が躍った。連続記者会見を開き、</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/beating-covid-and-the-australian-open/</link><guid isPermaLink="false">7e5d1094-a3e1-45a6-8c38-5c61f4cad90e</guid><category><![CDATA[オーストラリア備忘録]]></category><dc:creator><![CDATA[Yoko Harada]]></dc:creator><pubDate>Sun, 28 Feb 2021 05:12:00 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>　２月２０日、メルボルンで行われたテニス全豪オープンの女子シングルス決勝で大坂なおみ選手が勝ち、二度目の全豪制覇を果たした。今大会、大坂選手のプレーはもちろん、その言動の成長ぶりに目を見張ったテニスファンは多かったのではないか。私もそんな一人だったが、同時に表彰式で沸き起こる観客席からの歓声に、別の意味で実に感慨深いものを感じた。<br></p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/BWLLgXsDJ6o" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">全豪オープン女子シングルス表彰式の様子<br><br></font></div></div>

<p>　試合後ロッドレーバーアリーナのコート上で、オーストラリアの往年のダブルスの名手トッド・ウッドブリッジ氏を司会に行われた表彰式。決勝戦の相手、ジェニファー・ブレイディ選手、続く大坂選手のスピーチに観客が大きく反応。彼女たちも歓声や拍手に応え、アリーナの一体感が増していることが映像からも伝わって来た。そして、写真撮影も終えて大坂選手が退場する際には、ファンが差し出すテニスボールやパンフレットにサインをするお決まりの光景が繰り広げられた。それは一見いつもと同じグランドスラムの表彰式の光景だった。しかし、それは私には半ば奇跡にも近い光景に見えた。<br></p>

<p>　<a href="https://telescopium.stellato.blog/corona-virus-victoria-amidst-lockdown/">昨年のブログ</a>にも書いたように、全豪オープンが開催されたメルボルンが州都のヴィクトリア州は、新型コロナ感染の第二派のダメージをオーストラリア国内で一番大きく受けた州で、夜間の外出禁止など厳しい行動規制が掛けられていた。この徹底的なウイルス封じ込め作戦が徐々に効果を見せ始め、同ブログを見返すと、9月１１日のヴィクトリア州の新規感染者数は３７名にまで減少。その後１０月に入ってからは１０台と一桁台をウロウロする状況が続きヴィクトリア州政府の発表をみんなが固唾を飲んで毎日待っているような状態だった。<br>
　そして、遂に１０月２６日、新規感染者数０、との発表がダン・アンドリューズ州首相からなされた。その日は終日メルボルン発のツイッターやフェイスブックの書き込みには０をドーナツに例え、🍩の絵文字が躍った。連続記者会見を開き、記者からの厳しい質問に毎日根気強く対応していたアンドリューズ州首相もその日の夕方、こんな写真を自身のツイッターに投稿した。<br></p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/03/-----.JPG" alt="That's a good day!" width="400"><font size="2"><a href="https://twitter.com/DanielAndrewsMP/status/1320634572959170560">(Original Tweet)</a><br><br></font></div></div>

<p>　その段階で１１０回を超える連続記者会見を開いていた州首相だが、１０月３０日、１２０回目となる会見の締めくくりに「明日はみんなには会わないから」と一言。「お～！」と記者たちの間からどよめきが起こった。翌日から数日、アンドリューズ州首相は会見に姿を見せることはなかった。久々の休暇がやっと取れたのだった。<br>
　結局ヴィクトリア州は１１２日に及ぶロックダウンを経験することになったが、その効果はてきめんで、大晦日に一人感染者が出るまで、市中の新規感染者数は０が続いた。新型コロナ禍が始まってから「０」などという数字を見たことがない東京の住人からしてみると、ヴィクトリア州が連発するドーナツの日々は俄かには現実のこととは思えないようなことだった。０になることってあるんだ、と。<br>
　もちろん、新型コロナウイルスが州からいなくなった訳ではないので、コロナ以前の日常が戻って来たということではなかった。外出時のマスク着用、オフィスに出社出来る従業員の割合、カフェなどはお店の面積に合わせた客数の制限など、細かいルールの適用は継続された。それでも夜間の外出禁止令が解かれ、ヴィクトリア州内の移動は自由になり、大分解放された感じが報道から伝わって来た。<br>
　そしてほどなくロックダウンに入っている間閉じられていた隣りのニューサウスウェールズ州（シドニーを擁する州）との州境が開き、多くの人たちが州境を越えて移動した。長らく会えなかった家族や友人のところを訪問した人たちもいれば、久々の旅に出た人たちもいた。私のヴィクトリア州に住む知人も、早速いそいそとニューサウスウェールズ州へキャンプに出掛けていた。<br>
　そうこうしていたところ、１２月に入って今度はシドニー近郊でクラスターが発生。ウイルスがヴィクトリア州に運ばれることを阻止するために速攻でまた州境が閉じられてしまった。結果ホットスポットとなったエリアを訪ねていたヴィクトリア州の人たちが帰宅出来なくなる事態も発生。クリスマスがかかった時期だったので、予定が大きく狂って落胆、大きな不満を抱える人も沢山出ることになった。<br></p>

<p>　そんなアップダウンの日々をヴィクトリア州の人たちが過ごしていた只中の１２月１７日、主催者から全豪オープンが、恒例の１月開催から２月に時期をずらし開催されることが正式に発表された。昨年はロックダウンのあおりで、メルボルンの毎年恒例の最大のスポーツイベントと言っても過言ではない、１０月開催のオーストラリアン・ルールズ・フットボールのシーズン決勝戦開催地をブリスベンに持って行かれてしまい、メルボルンっ子たちは実に悔しい思いをした。そのような経緯もあって、全豪の開催にゴーサインが出たことはメルボルンにもたらされた久々の明るい話題だった。<br></p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/03/------1.JPG" alt="全豪オープンが開催されることが発表されたテニス・オーストラリアのウェブサイト（スクリーンショット）" width="400"><font size="2">全豪オープンが開催されることが発表された<a href="https://ausopen.com/articles/news/australian-open-set-historic-8-february-start">テニス・オーストラリアのウェブサイト（スクリーンショット）</a><br><br></font></div></div>

<p>　とは言え、折角長期に亘るロックダウンに耐え、やっと市中の感染が０に抑えられ、少しずつ日常を取り戻しているというのに、海外から選手やその関係者、報道陣など多くの人たちを迎えることが、ウイルスの持ち込みに繋がらないか、と地元の人たちの間には不安や警戒心も広まった。また、オーストラリアは新型コロナ禍の影響で海外で足止めを食っている自国民の帰国についても、一日に入国出来る人数に上限を設け厳しく制限していたので、年末が近づいても帰国出来ない人たちが多くいる状態だった。それなのに何故海外の人たちを受け入れるのか、という批判の声も大きかった。<br>
　それでも、このような規模の国際スポーツ大会を開催したい都市は世界に数多くある。我々が諦めればすぐに他の地が名乗りを上げるだろう。そして二度とメルボルンには戻って来ないかもしれない。また、これは単純に競技会だ、ということだけでなく、ここで多くの雇用も発生する。これはロックダウンを抜けたヴィクトリア州の経済回復に必要なんだ、という趣旨の説明をアンドリューズ州首相は行い、主催者は開催に向けて周到な準備を進めた。<br>
　そして１月。月半ばに主催者が用意したチャーター便で選手や関係者たちが続々とメルボルンや、前哨戦のあるアデレード入りをした。もちろん、そこから１４日間は「隔離」である。世界のトッププレーヤーたちを含め、一人残らず、である。<br>
　メルボルンでは３つのホテルが選手の隔離期間中の滞在宿泊場所として指定された。それぞれのホテルからは市中に出ずに直接アクセス出来る練習コートやジムがあり、ホテルを含むその空間は「バブル」と呼ばれた。各人が自室から出られるのは一日に５時間。接触出来る人の数も制限がかけられた。食事もホテルの中で主催者から提供されるものか、ウーバーイーツなどで注文したものを自室で、ということで、選手たちは、外の世界と隔絶された空間で２週間を過ごすこととなった。<br>
　これだけでも心身ともに選手たちには大きな負担がかかることと思うが、更にオーストラリアへやって来たチャーター機の中の３便で、メルボルンに到着してから搭乗者から陽性者が出て、同じ便に乗っていた人たちには上記以外に更に隔離期間中自室を一歩も出られない、という厳しい制限「ハードロックダウン」が適用された。日本の選手も錦織圭選手と、ダニエル太郎選手が運悪くこのカテゴリーに入ってしまった。<br>
　これには一部の選手たちから不満の声が上がった。身体を動かすのが商売の選手たち。それがホテルの部屋から２週間も一歩も出られないとは。これはスポーツ選手でなくとも大変な困難だ。また、ハードロックダウンを強いられた選手と、通常の２週間隔離で済む選手とでは大会前のトレーニングに差が出てしまい、不公平だ、という声も上がった。<br>
　そんな中、選手たちの不満の声を代表して、とノバク・ジョコビッチ選手がテニス・オーストラリアに対して隔離制限の緩和に関する要望書を提出する、という事態が発生した。彼の要望の中には例えば、それが可能な選手は指定の隔離エリア外にテニスコート付きの一軒家を借り、そこで練習もしつつ、選手と関係者が隔離生活を送る、というものも含まれていた。<br>
　記者会見でこの件を問われたアンドリューズ州首相は、各人が様々な要求をするのは自由だが、特別扱いというものはない。今回の要望に対する回答はノーだ、と言い切った。実際選手たちはオーストラリアへ向かう前に細かく状況の説明や条件を示されいて、場合によってはハードロックダウンが適用されることもある、ということは了解済みのことだったのだ。よってジョコビッチ選手の要望をテニス・オーストラリアが入れることはなかった。<br>
　考えてみれば、メルボルンに集まって来た選手の中には、新規感染者が日々千や万の単位で増えていても、それほどきつい行動規制がかけられていない国からやって来た人たちもいた訳で、ヴィクトリア州の行動規制の厳しさに当初納得が出来ず、不満を漏らしてしまった人たちがいたのは致し方のないことだったのでは、とも思う。しかしオーストラリア到着から時間が経ち、だんだん地元の状況が見えるようになり、ヴィクトリア州の人たちが昨年どれほど厳しい非日常を送り、市民一人一人の努力、協力によって市中感染者数ほぼ０の日々を迎えられているということが理解されるようになって来ると、不満を表わしていた選手も徐々に態度を軟化させた。ツイッターで述べた不満を削除し謝罪する選手も現われた。<br>
　テニス・オーストラリアはこの間、特にハードロックダウンになってしまった選手たちのサポートに尽力をし、例えば各選手の部屋にジムのマシーンを入れるなど、彼らからの要望に極力応えていった。そして選手たちも前向きに、そしてかなりクリエイティブに決して広くはないホテルの部屋をテニスの練習場に変えてトレーニングに励んだ。<br></p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div>
<blockquote class="twitter-tweet tw-align-center"><p lang="en" dir="ltr">Wrong surface but that doesn‘t matter for us💪🏽 <a href="https://t.co/R8FsdyGafy">pic.twitter.com/R8FsdyGafy</a></p>&mdash; Belinda Bencic (@BelindaBencic) <a href="https://twitter.com/BelindaBencic/status/1350689128468291586?ref_src=twsrc%5Etfw">January 17, 2021</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>  
<font size="2"><a href="https://twitter.com/BelindaBencic/status/1350689128468291586">ベリンダ・ベンチッチ選手のツイッター</a>投稿から（１月１７日付）<br><br></font></div></div>

<p>　若干この後のホテルの部屋の損傷具合が気になるし、我々がホテルに滞在した時には決してやってはいけない、というベンチッチ選手のホテルの部屋使用方法だが、開催に向けて何となく重苦しい空気が流れる中、このような選手たちのSNS投稿は明るい話題の提供となった。<br>
　そして、1月末から２月頭にかけて２週間のロックダウンが開け、選手たちは町へ出、それぞれ別の宿舎にチェックインし、コートで本格的な練習を開始した。<br></p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div>
<blockquote class="twitter-tweet tw-align-center"><p lang="en" dir="ltr">Good practice with <a href="https://twitter.com/AlexZverev?ref_src=twsrc%5Etfw">@AlexZverev</a> today! 👍💪🙏 <a href="https://twitter.com/AustralianOpen?ref_src=twsrc%5Etfw">@AustralianOpen</a> <a href="https://twitter.com/atptour?ref_src=twsrc%5Etfw">@atptour</a> <a href="https://t.co/7WdN3MOWzV">https://t.co/7WdN3MOWzV</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/keisapp?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#keisapp</a> <a href="https://t.co/EGMYbkQHxM">pic.twitter.com/EGMYbkQHxM</a></p>&mdash; Kei Nishikori (@keinishikori) <a href="https://twitter.com/keinishikori/status/1355865195374116869?ref_src=twsrc%5Etfw">January 31, 2021</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>  
<font size="2">センターコートでの練習に励む錦織圭選手のツイッターへの投稿（１月３１日付）<br><br></font></div></div>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/03/------2.JPG" alt="隔離中も明るかったが、隔離開けは更に明るいダニエル太郎選手のツイート（２月５日付：スクリーンショット）" width="400"><font size="2">隔離中も明るかったが、隔離開けは更に明るい<a href="https://twitter.com/tarodaniel93/status/1357529474401665024">ダニエル太郎選手のツイート</a>（２月５日付：スクリーンショット）<br><br></font></div></div>　
選手たちが渡航した飛行機で感染者が出、一部の人たちにハードロックダウンが適用され、選手から不満の声が上がり出した頃には、地元の人たちの間にも全豪を実施するなんてどう考えたって無理なんじゃないのか、これは大混乱じゃないか、収拾がつかないじゃないか、というムードが流れた。メディアの報道も悲観的で、スタート日が数日後ろに送られるのではないか、という話も出た。しかし、遂に訪れた２月８日、全豪オープン２０２１は予定通り開幕した。かなり数を制限してではあるが、観客を入れることも実現した。<br>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><blockquote class="twitter-tweet tw-align-center"><p lang="en" dir="ltr">The No.3 seed <a href="https://twitter.com/naomiosaka?ref_src=twsrc%5Etfw">@naomiosaka</a> moves on! 👏<br><br>She defeats Pavlyuchenkova, 6-1, 6-2.<a href="https://twitter.com/hashtag/AO2021?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#AO2021</a> <a href="https://t.co/vyWGPOYaLD">pic.twitter.com/vyWGPOYaLD</a></p>&mdash; wta (@WTA) <a href="https://twitter.com/WTA/status/1358587833066409987?ref_src=twsrc%5Etfw">February 8, 2021</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
        <font size="2">初戦を突破した大坂なおみ選手（２月８日付<a href="https://twitter.com/WTA/status/1358587833066409987">WTAのツイッターから）</a>（２月５日付：スクリーンショット）<br><br></font></div></div>　
しかし、２週間の大会期間中にも試練は待っていた。大会が始まってすぐに英国変異株の市中感染者がメルボルンで一人見つかったのだ。彼は海外から帰国した人たちが隔離生活を過ごすホテルで働いていて、海外から持ち込まれたウイルスに感染し、そこから市中の人数人に感染が広まっていた。ヴィクトリア州政府の動きは早く、２月１３日にメルボルンとその近郊に５日間の短期のロックダウンが宣言され、徹底的な感染ルートの調査が行われた。それでも全豪の試合は続行されたが、無観客での試合となってしまった。<br>
　幸いにも５日間のロックダウンには効果があり、変異株クラスターが拡大する兆候がなかったことから、ロックダウンの延長はなく解除された。メルボルンパークには観客が戻った。<br>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/03/------3.JPG" alt="観客が戻ったことを喜ぶ全豪オープン公式ツイッターアカウント（２月１８日付）" width="400"><font size="2">観客が戻ったことを喜ぶ<a href="https://twitter.com/australianopen/status/1362356587629744132">全豪オープン公式ツイッターアカウント</a>（２月１８日付）<br><br></font></div></div>　
大坂なおみ選手が見事女子シングルスで優勝したのはそれから３日後だ。表彰式で大坂選手の隣りに立つテニス・オーストラリアのCEOで、今大会のディレクターのクレイグ・タイリー氏は誇らしい気持ちでいただろうが、同時にさぞかしホッとした気持ちでもあったのでは、と思う。<br>
　翌日、今度は男子のシングルス決勝が行われ、ジョコビッチ選手がなんと９度目となる全豪のトロフィーを手にした。先に書いたようにジョコビッチ選手はオーストラリアの厳しい隔離政策に物申し、緩和を訴える要望書をタイリー氏宛に出していた。実はそのことでジョコビッチ選手は逆にわがままだ、と大変なバッシングに遭ってしまっていた。彼としては良かれと思ってやったことだったので大変辛い想いをしたらしいが、それだけに過去の８度に何倍も勝る喜びの優勝だっただろう。<br>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2021/03/------4.JPG" alt="９度目の全豪優勝を決めたジョコビッチ選手（９Newsのサイトより。スクリーンショット）" width="400"><font size="2">９度目の全豪優勝を決めたジョコビッチ選手（<a href="https://www.9news.com.au/national/australian-open-2021-photos-spectators-flood-melbourne-park-for-tennis/623668d8-ab1a-4372-a655-6b9a3da54d47#3">９Newsのサイトより。</a>スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　１２月半ばに開催がアナウンスされてから、本当にやり切れるのだろうか、と心配しながら見守って来たテニス全豪オープン。政治が科学に忠実な方策を講じることで、このような大規模イベントもやっかいな新型コロナウイルスとの距離をコントロールしながら実現することが出来ることを教えてくれた。この夏にオリンピック・パラリンピックの開催を控える日本には沢山の教訓が詰まっている大会だったように感じている。日本は海外から何かを学ぶという時、すぐに欧米から、となるが、たまには南半球を見てみるのも悪くないのではないだろうか。同じ東アジアの隣人なのだから。</p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[新型コロナ禍：ロックダウン真っ最中のヴィクトリア州]]></title><description><![CDATA[<p>　先回のブログを書いてから、随分と時間が経ってしまった。３月に続いて直ぐにオーストラリアの新型コロナウイルスの様子をレポートしようと思っていたが、なにせオーストラリア発に限らず、ニュースが新型コロナ感染拡大の話一色になり、どのトピックを取り上げるべきか大いに悩む事態に陥った。そうこうしている内に、私が春学期非常勤講師を担当することになっていた大学２校でも遠隔授業で一学期を乗り切ることが決まり、その対応と残務処理に四苦八苦している内にあっという間に９月になってしまった。</p>

<p>　その間のオーストラリアの新型コロナ禍の状況はと言えば…</p>

<p>　お隣のニュージーランドのケースが日本でも成功例としてメディアに取り上げられたほどではないが、当初オーストラリアはこのウイルスの国内での感染拡大阻止にそこそこ成功しているように見えた。始まりは夏休みを利用して故郷の中国を訪ね、その後オーストラリアへ帰国した人や、彼らと一緒にオーストラリアを訪ねて来た家族に感染が確認されたケースだった。その後、ヨーロッパでの感染拡大を受けて、ヨーロッパからの帰国者、訪問者に感染者が確認されるようになった。それが正に「第一波」だったのだろう。オーストラリアでは健康・保健の問題は州政府が主導権を持つため、具体的には州政府が対応するが、連邦政府はスコット・モリソン首相を中心に各州の州首相が集う「ナショナル・キャビネット」を３月中旬に立ち上げて、その後現在に至るまで、各州間の意見交換、対策の協議などが行われている。<br>  
　その間メディアを特に賑わせたのは二隻のクルーズ船だ。一隻はもちろん日本が舞台となった例の「ダイヤモンド・プリンセス号」だ。あの客船にはオーストラリア人も多数乗船していたので、日々の船内の様子、日本政府の発表、オーストラリア人の感染者の数、オーストラリア政府の対応、そして同政府がしつらえた航空機で帰国する人たちの様子、政府のルートは拒否し、別の方法で帰国を試みる人のことなどが随時報道された。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/------20200205-ABC--Diamond-Princess-.jpg" width="400" alt="ダイヤモンド・プリンセス号でクラスターが発生したことを報じる２月５日付のABCニュース（スクリーンショット）" title=""><font size="2">ダイヤモンド・</font></div></div>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/corona-virus-victoria-amidst-lockdown/</link><guid isPermaLink="false">ef017f97-3802-45c3-8472-02b5249fec92</guid><category><![CDATA[オーストラリア備忘録]]></category><dc:creator><![CDATA[Yoko Harada]]></dc:creator><pubDate>Tue, 15 Sep 2020 06:23:14 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>　先回のブログを書いてから、随分と時間が経ってしまった。３月に続いて直ぐにオーストラリアの新型コロナウイルスの様子をレポートしようと思っていたが、なにせオーストラリア発に限らず、ニュースが新型コロナ感染拡大の話一色になり、どのトピックを取り上げるべきか大いに悩む事態に陥った。そうこうしている内に、私が春学期非常勤講師を担当することになっていた大学２校でも遠隔授業で一学期を乗り切ることが決まり、その対応と残務処理に四苦八苦している内にあっという間に９月になってしまった。</p>

<p>　その間のオーストラリアの新型コロナ禍の状況はと言えば…</p>

<p>　お隣のニュージーランドのケースが日本でも成功例としてメディアに取り上げられたほどではないが、当初オーストラリアはこのウイルスの国内での感染拡大阻止にそこそこ成功しているように見えた。始まりは夏休みを利用して故郷の中国を訪ね、その後オーストラリアへ帰国した人や、彼らと一緒にオーストラリアを訪ねて来た家族に感染が確認されたケースだった。その後、ヨーロッパでの感染拡大を受けて、ヨーロッパからの帰国者、訪問者に感染者が確認されるようになった。それが正に「第一波」だったのだろう。オーストラリアでは健康・保健の問題は州政府が主導権を持つため、具体的には州政府が対応するが、連邦政府はスコット・モリソン首相を中心に各州の州首相が集う「ナショナル・キャビネット」を３月中旬に立ち上げて、その後現在に至るまで、各州間の意見交換、対策の協議などが行われている。<br>  
　その間メディアを特に賑わせたのは二隻のクルーズ船だ。一隻はもちろん日本が舞台となった例の「ダイヤモンド・プリンセス号」だ。あの客船にはオーストラリア人も多数乗船していたので、日々の船内の様子、日本政府の発表、オーストラリア人の感染者の数、オーストラリア政府の対応、そして同政府がしつらえた航空機で帰国する人たちの様子、政府のルートは拒否し、別の方法で帰国を試みる人のことなどが随時報道された。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/------20200205-ABC--Diamond-Princess-.jpg" width="400" alt="ダイヤモンド・プリンセス号でクラスターが発生したことを報じる２月５日付のABCニュース（スクリーンショット）" title=""><font size="2">ダイヤモンド・プリンセス号でクラスターが発生したことを報じる２月５日付の<a href="https://www.abc.net.au/news/2020-02-05/coronavirus-on-diamond-princess-cruise-ship-in-japan/11931688">ABCニュース</a>（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　船に隔離されてしまった人たちは携帯を使える環境にはあったため、オーストラリアのメディアが彼等のツイッターなどの書き込みを追い、連絡、リアルタイムで電話やビデオインタビューを敢行して、客船内の隔離生活について生の声をラジオやテレビが伝えたりもしていた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/-----20200206-ABC-730--Diamond-Princess-.jpg" alt="乗客にインタビューするABCの報道番組「７．３０」（２月６日、スクリーンショット）" title=""><font size="2">乗客にインタビューするABCの報道番組<a href="https://www.youtube.com/watch?v=ERYLnHFNH0o">「７．３０」</a>（２月６日、スクリーンショット））<br><br></font></div></div>

<p>　そのダイヤモンド・プリンセス号“事件”から少し遅れて、今度はオーストラリアにおけるクルーズ船問題が勃発した。３月後半「ルビー・プリンセス号」がシドニー港に寄港し、乗客を下船させたのだが、乗客の中に新型コロナウイルスに感染している症状を示していた人が複数いたにも関わらず、全員を感染有無のチェックなしでオーストラリア国内へ入れてしまうという手違いが発生したのだ。多くのオーストラリア人はその足で国内各地の居住地へ帰って行った訳で、結果彼らがウイルスを各地に運ぶ形になってしまった。最終的にその人たちの中から６６２名の感染者と２８名の死亡者が出、当時としてはオーストラリアでは最大のクラスターになったことから、この一件については、その後、どこでどう間違って乗客がフリーパスで上陸、入国出来たのかを検証する調査委員会が立ち上がる騒ぎにまで発展した。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/-----20200814-ABC--Ruby-Princess-.jpg" width="400" alt="ルビー・プリンセス号での不祥事の調査結果について報じる８月１４日付ABCニュース（スクリーンショット）" title=""><font size="2">ルビー・プリンセス号での不祥事の調査結果について報じる８月１４日付<a href="https://www.abc.net.au/news/2020-08-14/ruby-princess-coronavirus-inquiry-findings-handed-down/12557714">ABCニュース</a>（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　その騒ぎも徐々に収まって行き、一時期オーストラリアは新型コロナ対策優等生のお隣のニュージーランドと、二国間の旅行を大いに促進しようという話し合いに入っていた。（日本のGo Toトラベルキャンペーンの豪NZ版、と言えばわかりやすいか？）モリソン首相もとても乗り気で、二国はタスマン海を挟んでいることから「トランス・タスマン・トラベル・バブル」などと称され、経済の停滞が懸念される中で、その活動を通常モードに戻していくための明るい材料として注目を集めた。</p>

<p>　その雲行きが怪しくなったのは６月末頃だ。ホットスポットはヴィクトリア州。ヴィクトリア州の州都で、オーストラリア第二の都市、メルボルンを中心に感染者数がジリジリ増え始め、遂に７月６日発表の一日の感染者数が１６８人、と新型コロナウイルスの感染が広がり出してから、最も多い数となってしまった。<br>  
　州政府は即座にメルボルンと郊外の一地域に、家を出られるのは、食料品やその他の必需品の購入、他人のケア、運動、（リモートで出来ない場合）仕事、学校へ行くこと、以上の４つに当てはまる場合のみ、となるステージ３の「Stay home」の行動規制を掛けることを発表した。その後、オーストラリアではずっと市民の間では抵抗感があったマスクの着用が義務付けられ、少しでも風邪のような症状がある人は、とにかく検査を、と呼びかけ、一方でミステリーケースと言われた、感染源が不明な感染者の感染ルートの徹底究明に力が注がれた。<br>
　しかしそれでは充分ではない、と判断し、８月３日の深夜から、メルボルンはステージ４、それ以外のヴィクトリア州全体にステージ３の行動規制が６週間適用されることになった。また夜間の外出禁止令も出された。９月に入り、二度とロックダウンに逆戻りしないために、とその行動規制の期間が２週間延長されることになって、メルボルンの知人たちからは大きな溜息が聞こえて来た。心中察するにあまりあるが、しかし、ヴィクトリア州の感染者数の変化を追っていると、州政府の政策が効いている、ということがシロウトの私にもよく見える。８月４日には最大の６８７名の感染者数を記録したが、そこをピークに感染者数は確実に減少して来ていて、９月１１日には３７名にまで下がっている。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/-----20200913-VIC-new-cases.jpg" alt="ヴィクトリア州の新規感染者数の日々の推移" title=""><font size="2">ヴィクトリア州の新規感染者数の<a href="https://public.tableau.com/views/Cases_15982342702770/DashboardPage?:language=en&:embed=y&:embed_code_version=3&:loadOrderID=0&:display_count=y&:origin=viz_share_link">日々の推移</a><br><br></font></div></div>

<p>　このヴィクトリア州の新型コロナウイルス対策の先頭に立っているのは、州首相のダニエル（ダン）・アンドリューズだ。アンドリューズは、私がメルボルンを去った後の２０１４年に州首相になった人ということもあり、あまりこれと言った印象がない人だったのだが、ここに来て強い指導力を発揮している。それが東京にいる私にもよく見えるのは、彼の日々の記者会見の模様がFacebook上で実況中継されているからだ。実はアンドリューズは７月３日から土日も含め一日も休みなく会見に立ち続けていて、こちらも昼前にアンドリューズの記者会見の模様を視聴するのがすっかり日課になってしまった。<br>  
　とにかくどんな時にも休暇を大切にするオーストラリア人。金曜日の午後は働いてないも同然ではないか、と思われる職場も見て来たし、主要メディアだって少し前まで土日にはウェブサイトの更新がほとんどなされていなかった。そのようなお国柄のオーストラリアで、何週間も全く休みを取らずに、というのは異例中の異例な事態だ。さすがに連続５０回目の会見を迎えた８月２１日には、メディアにそのことが取り上げられ、市民からも最近ダンは疲れているように見えないか？少し休暇を取ればいいのに、という声も上がった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/-----20200821-ABC--Andrews-presser-.jpg" width="400" alt="アンドリューズ州首相の定例記者会見連続５０回について報じるABCニュース（スクリーンショット）" title=""><font size="2">アンドリューズ州首相の定例記者会見連続５０回について報じる<a href="https://www.abc.net.au/news/2020-08-21/daniel-andrews-hits-50-daily-coronavirus-updates-for-victoria/12565048">ABCニュース</a>（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　そのような声をSNS上で見ていて、思わずあの東日本大震災の時の、民主党枝野幸男官房長官の連日の記者会見を思い出したのは言うまでもない。あの時はツイッター上で「#枝野寝ろ」というハッシュタグがトレンディングしたが、「#ダン寝ろ」とか「#ダン休め」というハッシュタグが立ち上がるのでは？と思われるムードをネット上で感じた。<br>  
　それでもアンドリューズは、これは自分の職務だから、と今も毎日会見に出て来て、記者たちから繰り出される質問に最後の一問まで粘り強く答えている。数人の大臣や専門家なども同席し、専門度の高い話は彼等が、政策決定に関わる問題についてはアンドリューズが答える。１時間で終われば早いくらいで、毎日１時間半は延々会見をやっている。<br>
　もちろんロックダウンの政策に懐疑的な記者もいるし、そもそも市中感染が広がってしまったことの責めを州首相に負わせようとする者もいる。彼が所属する労働党とは立場を異にするメディアの記者には、今それを聞くか？というような政局絡みの質問をして来る記者もいる。<br>
　会見を毎日見ていてい面白いのはFacebookに書き込まれる記者会見を同時に視聴している人たちのコメントだ。ロックダウンなんて必要ない、と感じている市民は「ダン、辞めろ！」とか「次の選挙では落としてやる」などいうきつい書き込みをしているが、もちろん擁護派も多く、「ダン、応援しています！」とか、批判的なコメントを書く人に対して「ダンは科学に基づいて判断をしているのよ！」と噛みつく人、またしつこい記者に対して「ハイエナめ」と怒っている人もいる。<br>
　果たしてヴィクトリア州が採っている政策が本当に正解なのかどうかはわからない。これで見事に感染者数は０に近い数字が続く形になったとしても、行動規制で打撃を受けた経済はどうなるのだろうか、という疑問は湧かなくはない。それでも毎日のアンドリューズと彼のチームの会見を見ていると、きちんと科学、データに基づいて、その時最良だと思われる政策を取っているのだ、ということがとても良く見える。<br>
　特に、今回会見に同席するようになって、あら、男前だわ！と一部で妙な人気が出てしまった州の保健衛生官（Chief Medical Office）のブレット・サットン教授の言葉は、ソフトだが自信に満ちている。そしてその言葉の根拠の説明が明快になされるので、聞いている方は（特にシロウトは）なるほど、と思わされるのだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/-----20200913-ABC-Mel--Brett-Sutton-presser-.jpg" alt="９月１３日（日）の定例記者会見で記者の質問に答えるサットン教授（ABC MelbourneのFacebookのスクリーンショット）" title=""><font size="2">９月１３日（日）の定例記者会見で記者の質問に答えるサットン教授（<a href="https://www.facebook.com/49384278925/videos/343609330168929">ABC MelbourneのFacebookのスクリーンショット</a>）<br><br></font></div></div>

<p>　話を聞いていると、アンドリューズ州首相の今の第一の目標は、例年と全く同じとは行かないけれど、少しでも普段の状態に近いクリスマスをヴィクトリア州の市民に迎えてもらうことだ、と私には思える。クリスマスはオーストラリアではちょうど夏休みの期間に当たり、その辺りから１月末くらいまでは国中がリラックスする時期だ。と同時に家族、親戚、友人が集う時期でもある。その意味でも人と人が離れているのが一番の予防というウイルスは実にやっかいな相手だ。<br>  
　二ヶ月に亘るロックダウンに市民が飽き飽きするのはよくわかる。ずっと家にいなければならず、メンタル面を病む人も増えていると言う。しかし、今もう少し自由な行動を押さえることで、クリスマスに少しでも人が集まることが出来るなら…。当事者でない者があれこれ言えることではないと思うけれど、今がきっと正念場。メルボルンにエールを送りつつ、しばらくは毎日のアンドリューズの定例記者会見をウォッチして行きたいと思う。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/09/-----20200804-Andrews-twitter.jpg" width="400" alt="二度目のロックダウンと夜間外出禁止令が出た翌日８月４日のアンドリューズ州首相のツイート。メルボルンの各所に人っ子一人いない写真をアップし、市民に感謝している。（スクリーンショット）" title=""><font size="2">二度目のロックダウンと夜間外出禁止令が出た翌日８月４日の<a href="https://twitter.com/DanielAndrewsMP/status/1290595771482423297">アンドリューズ州首相のツイート</a>。メルボルンの各所に人っ子一人いない写真をアップし、市民に感謝している。（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[オーストラリア炎上【後編】]]></title><description><![CDATA[<p>　一つ前のブッシュファイアーに関する<a href="https://telescopium.stellato.blog/australian-wildfires/">ブログ</a>を書いてから少し時間が経った。その間に月は変わり、現地オーストラリアでの報道も、新型コロナウイルスに関する件ほぼ一色になってしまった。オーストラリアでは当初水際作戦が効いていて、感染者の数も一桁だったが、ウイルスが世界の各所に広がる中、イタリアやイランからの帰国者や彼らへの接触者の感染が確認されるケースが増えている。<br>  
　ここしばらくはスーパーマーケットでのトイレットペーパーの買い占め問題がトップニュースだ。日本でも起こっている現象だが、オーストラリアのスーパーは、そもそも店舗が日本のものと比べると大きく、棚も大きいことから、そこが全くカラッポになっているビジュアルはなかなかインパクトがある。３月１３日にはピーター・ダットン内務大臣が感染し、入院したことが発表され、またオーストラリア滞在中の米俳優、トム・ハンクス夫妻も感染が確認され、ゴールドコーストで隔離生活を送っていることが報道された。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200313-ABC--Tom-Hanks-corona-.jpg" alt="トム・ハンクス夫妻の様子を伝える ABC News" title=""><font size="2">トム・ハンクス夫妻の様子を伝える<a href="https://www.abc.net.au/news/2020-03-13/tom-hanks-coronavirus-isolation-queensland/12053576">ABC News</a>（３月１３日付、スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　そんな調子のメディアの発信だが、しかしだからと言って史上最悪のブッシュファイアーが残した爪痕が既に消し去られた、などいうことは、言うまでもないことだが、決してない。ニュー・サウス・ウェールズ（NSW）州の消防局が、同州でこのシーズンの全ての火災が沈下した、と発表したのは３月２日のことである。昨年の７月の初旬に始まったブッシュファイアーは、２４０日を越える日数各所で燃え盛ったのだ。火は消えても、直接、</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/australian-wildfires-part-2/</link><guid isPermaLink="false">49610c23-6833-4acb-898c-01b63051b4d8</guid><category><![CDATA[オーストラリア備忘録]]></category><dc:creator><![CDATA[Yoko Harada]]></dc:creator><pubDate>Thu, 19 Mar 2020 02:33:11 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>　一つ前のブッシュファイアーに関する<a href="https://telescopium.stellato.blog/australian-wildfires/">ブログ</a>を書いてから少し時間が経った。その間に月は変わり、現地オーストラリアでの報道も、新型コロナウイルスに関する件ほぼ一色になってしまった。オーストラリアでは当初水際作戦が効いていて、感染者の数も一桁だったが、ウイルスが世界の各所に広がる中、イタリアやイランからの帰国者や彼らへの接触者の感染が確認されるケースが増えている。<br>  
　ここしばらくはスーパーマーケットでのトイレットペーパーの買い占め問題がトップニュースだ。日本でも起こっている現象だが、オーストラリアのスーパーは、そもそも店舗が日本のものと比べると大きく、棚も大きいことから、そこが全くカラッポになっているビジュアルはなかなかインパクトがある。３月１３日にはピーター・ダットン内務大臣が感染し、入院したことが発表され、またオーストラリア滞在中の米俳優、トム・ハンクス夫妻も感染が確認され、ゴールドコーストで隔離生活を送っていることが報道された。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200313-ABC--Tom-Hanks-corona-.jpg" alt="トム・ハンクス夫妻の様子を伝える ABC News" title=""><font size="2">トム・ハンクス夫妻の様子を伝える<a href="https://www.abc.net.au/news/2020-03-13/tom-hanks-coronavirus-isolation-queensland/12053576">ABC News</a>（３月１３日付、スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　そんな調子のメディアの発信だが、しかしだからと言って史上最悪のブッシュファイアーが残した爪痕が既に消し去られた、などいうことは、言うまでもないことだが、決してない。ニュー・サウス・ウェールズ（NSW）州の消防局が、同州でこのシーズンの全ての火災が沈下した、と発表したのは３月２日のことである。昨年の７月の初旬に始まったブッシュファイアーは、２４０日を越える日数各所で燃え盛ったのだ。火は消えても、直接、間接に影響を受けた人々、社会、そして動物や植物など自然環境も、疲弊し切っている。回復には一体どのくらいの年月がかかるのだろうか。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200302-NSWRFS-tweet--fire-.jpg" alt="NSW消防局のツイート（３月２日付。スクリーンショット。）" title=""><font size="2">NSW消防局のツイート（３月２日付。スクリーンショット。）<br><br></font></div></div>

<p>　今回日本でこのブッシュファイアーのニュースが大きく報道されるようになったのは、１１月頃に火傷をした痛々しいコアラの姿が流れてからだったように記憶している。実際には、コアラほど知られていない小型の有袋類や、ビジュアル的に普段あまり顧みられない爬虫類や昆虫で、オーストラリアの生態系維持に不可欠な生物の被害は更に甚大だと言われている。しかし、やはりコアラのオーストラリアのアイコンとしてのブランド力には叶うものはないようだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20191109-Asahi--bishfires-koala-.jpg" alt="森林火災の被害を報ずる朝日新聞デジタルの記事（２０１９年１１月９日付、スクリーンショット）" title=""><font size="2">森林火災の被害を報ずる<a href="https://www.asahi.com/articles/ASMC92VD4MC9UHBI00L.html?iref=pc_ss_date">朝日新聞デジタルの記事</a>（２０１９年１１月９日付、スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　そのようなコアラの姿が多々報道される中で日本からも何か出来ないか、募金をするとしたらどの団体にするのが良いのか、という声が、ネット上でもよく見られるようになった。私も所属しているオーストラリア学会では、現地の寄付を募っている団体のリストを作成してメーリングリストで流したり、Facebookに情報を掲載したりした。<br>  
　また、日本の動物園でも動きがあった。東京の多摩動物公園は、３６年前に日本に初めてやって来たコアラ６頭の内２頭を受け入れた動物園で、今でも立派なコアラ舎を持っている。昨年赤ちゃんが生まれ、現在は３頭を飼育している。他にもカンガルー、エミュなどオーストラリアの動物たちが多く飼育されているが、<a href="https://telescopium.stellato.blog/kawaiiakuma/">以前ブログでも紹介したように</a>２０１６年にタスマニアン・デビルを迎え入れたことが近年のトップニュースだ。<br>
　その多摩動物公園は、オーストラリアのオーストラレーシア動物園水族館協会の求めに応じて、１月頭より園内で<a href="https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=tama&link_num=26067">募金を始めた</a>。３月３１日までの受け付けで、寄付金は同協会の「野生生物保護基金」に渡される。<br>
　つい先日私が訪れた際には、それに加えて、シドニーのタロンガ動物園の関連団体が立ち上げたクラウドファンディング<a href="https://zooshop.taronga.org.au/appeal/wildlife-crisis-appeal-1">「Wildlife Crisis Appeal」</a>へのサポートの依頼が書かれた看板も並んで置かれていた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200312-Tama-12.jpg" alt="多摩動物公園のコアラ舎の入口に置かれた告知の看板（３月１２日撮影）" title=""><font size="2">多摩動物公園のコアラ舎の入口に置かれた告知の看板（３月１２日撮影）<br><br></font></div></div>

<p>　一方で、オーストラリアに何らかの繋がりを持つ日本の人たちが、そこここで独自の募金活動を行ってもいた。クラブオーストラリアというオーストラリア好き有志が集まった団体では、フェイスブック上で寄付を募り、チャリティーイベントも開いていた。また、渋谷の「のんべい横丁」を通り抜けた際には、小さなワインバーの窓にこのような表示があるのを見かけた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200123-Wine-Stand-Bouteille.jpg" alt="Wine Stand Boutteille（１月２３日撮影）" title=""><font size="2">Wine Stand Boutteille（１月２３日撮影）<br><br></font></div></div>

<p>　このように支援の輪が日本でも広がったブッシュファイアー。もちろんオーストラリアでは早くから多くの募金活動が行われた。テレビやインターネットを通して各地の惨状が詳細に伝えられ、生活の基盤を失った人々、炎から逃げ惑う動物たち、奮闘をするボランティアがほとんどの消防士たちに多くの一般市民が感情移入をした。そして、彼らを救うためにと、募金に応じた人たちは少なくなく、短期間で大きな金額の寄付金を集めた活動が多く現われた。<br>  
　そうなってくると、募金活動を巡る負の部分が顔を出す事案がチラホラ出て来てしまった。募金を装って善意の人たちからお金を騙し取る募金詐欺はその一例だが、全うな募金活動を行っている人物や団体にも批判の目が向けられた。<br>
　例えば、先回紹介したチャリティーコンサート「Fire Fight Australia」で司会を務めた、コメディアンのセレステ・バーバーは、思わぬところで募金に纏わる批判に巻き込まれてしまった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200216-FireFightAust-fb--Celeste-Barber-.jpg" alt="コンサート当日のバーバー（２月１６日付、Fire Fight Australiaのツイッターより、スクリーンショット）" title=""><font size="2">コンサート当日のバーバー（２月１６日付、Fire Fight Australiaのツイッターより、スクリーンショット）集<br><br></font></div></div>

<p>　彼女はいち早く自らのフェイスブックで寄付金を募るページを立ち上げ、あっという間に５１万豪ドルを上回る寄付を集めたことで一躍脚光を浴びた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----202001-Celeste-Barber-FB--Fund-raising-.jpg" alt="セレステ・バーバーのフェイスブック募金ページ（スクリーンショット）" title=""><font size="2">セレステ・バーバーのフェイスブック募金ページ（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　その行動には賞賛の声が集まっていたが、当初寄付先をブッシュファイアーの状況が最も深刻だったNSW州の消防局の基金、としていたことで話が複雑になってしまった。そもそも３万ドルを目標として始まった募金がその何倍にも当たる額を集めてしまい、そんなに集まったのなら、その後被害が広がった他の州の消防局や、野生動物保護の基金にもお金を回すべき、という声が上がり、彼女自身もそうしたい、という発信をしていた。ところが、寄付金の受取先となっていたNSW州消防局基金は、通常から寄付金をどのように使うかについて厳しい制限を設けられていた。元々が消防局への寄付なので、消防士の装備購入やトレーニングの費用に充てられることが決まっていて、他のチャリティーにお金を回すことは許されていなかったのだ。<br>  
　人々の善意で寄せられたお金が正しく使われるように、このような厳しい規定が設けられていることは当然と言えば当然だ。そのような事情からなかなか寄付金を動かせずにいたところ、苛立った寄付者からバーバーに批判が向けられることになってしまった。結局彼女は裁判所に出向いて必要な手続きを取り、寄付金にかけられていた縛りを解くことでこの思わぬ問題を解決しなければならなかった。<br>
　全くの善意で募金を呼び掛けたバーバーにはとんだ災難だったかもしれない。しかし、確かに来る日も来る日も一切合切をブッシュファイアーにやられた人たちや、炎の中を逃げ惑う動物たちの姿をメディアで見せられている市民にしてみれば、なぜあの人たち、あの動物たちを直ちに助けられないのか。そのために寄付をしているのに、という気持ちになるのは充分理解出来る。<br>
　そう言った市民の苛立ちや怒りは、オーストラリア赤十字社や、野生動物の保護活動をしているWIRESという団体にも向けられた。当初から多くの寄付金を集めていた両者だが、そこからなかなか被災者一人一人にお金が落ちて行かないこと、また集められたお金の一部はそれぞれの団体の運営資金などにも回される、という実態が明らかになって、こう言った寄付の受け皿として長年の実績がある団体に対するバッシングも起こってしまった。以後各団体は、それまでより丁寧に細かく、そして回数多く、ネット上で寄付の総額や、そのお金がどのようなプロセスを経て必要な人や組織に渡されるのかなどを発信するようになった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200311-Aust-Red-Cross-twitter--donation-.jpg" alt="寄付金の使途を説明するオーストラリア赤十字社のツイート（３月１１日付、スクリーンショット）" title=""><font size="2">寄付金の使途を説明する<a href="https://twitter.com/RedCrossAU/status/1237531202065588224">オーストラリア赤十字社のツイート</a>（３月１１日付、スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　このような寄付を巡る騒動を横目で見ながら、さて、私自身は今回のブッシュファイアーに対して何が出来るだろう、オーストラリアにどのように貢献出来るのだろう、とかなり悩んだ。まず寄付については、私は以前よりこのような自然災害時の寄付先には、日本にいれば日本赤十字社にすることが多かったので、今回はやはり実績のあるオーストラリア赤十字社が適当か、と思っていたが、熟考の末、今回は一か所は日本とオーストラリアの関係がはっきりわかり、かつオーストラリアのアイコンたちを保護することに寄与する、多摩動物公園。もう一か所は、私が好きなオーストラリアの歌手たちも出演したFire Fight Australiaを選んだ。こちらは、オフィシャルTシャツを購入することで寄付をした。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200305-Fire-Fight-Australia-T-shirts-2.jpg" alt="" title=""></div></div>

<p>　加えて、先回のブログで紹介した友人が住んでいる小さいコミュニティ、コバーゴが立ち上げたGoFundMeの基金にも寄付をした。私は赤十字社の寄付金の使用状況になんら異議はないが、今回はお金を受け取る人たちの顔が見えるところを選ばせてもらった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200112-Deb-FB--Cobargo-fund-.jpg" alt="フェイスブック上で紹介されたコバーゴの募金（１月１２付、スクリーンショット）
" title=""><font size="2">フェイスブック上で紹介された<a href="https://www.gofundme.com/f/cobargo-community-bushfire-recovery-fund">コバーゴの募金</a>（１月１２付、スクリーンショット）
<br><br></font></div></div>

<p>　もちろん、そうは言っても、私が大した額を寄付出来るわけではない。しかし、その少しずつのお金が積み重なって、少しでもコバーゴが新たに前に進む源になってくれればいいなぁ、と思う。<br>  
<br>  
　この他に私にも出来ることと言えば、やはりまたオーストラリアを訪ねることだろうなぁ、と思う。今回のブッシュファイアーで被害を受けたところには、観光地だったところも多くある。火災の後遺症ですっかり観光客の足が遠のいてしまい、何とか被災を免れ、営業を継続しているお店も商売があがったりになってしまい、困窮しているところも多くあるのだそうだ。そのような地方の町や村を応援しようと立ち上がったチャリティーもある。<br>
　１月に立ち上がり、インスタグラムでの発信を軸に活動を展開し、メディアの注目を集めたEmpty Eskyというチャリティーはそのようなチャリティー活動の一つだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200106-EmptyEsky-Instagram.jpg" alt="Empty Eskyのインスタグラム（1月６日付、スクリーンショット）" title=""><font size="2">Empty Eskyのインスタグラム（1月６日付、スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　Esky（エスキー）というのは、オーストラリア特有の言い方で、フリーザーボックスのことだ。つまり、Empty Eskyとは「空のフリーザーボックス」という意味だ。車のトランクに空のフリーザーボックスを乗せて旅をし、訪れた地の産品を購入してフリーザーボックスを一杯にして戻って来よう！という趣旨だ。その地のものを買って来るだけでなく、現地のカフェやレストランに寄って食事をしても、地元にお金を落とすことになり、それも復興支援の一環だ。Empty Eskyのインスタグラムには、各地の名産品やカフェなどの紹介がアップされ、趣旨に賛同した利用者から、実際に訪れた地から報告の写真が上がる。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200121-Emtpy-Esky-Instagram--honey-.jpg" alt="NSW州ベリーマのお店の紹介（１月２１日付、インスタグラム、スクリーンショット）" title=""><font size="2">NSW州ベリーマのお店の紹介（１月２１日付、インスタグラム、スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　運悪く新型コロナウイルスの世界的な蔓延に伴い、日本とオーストラリアの間の行き来も、しばらくしにくいかもしれないが、またいつもの日常が戻って来たら、従来とは違うオーストラリアへの旅をしてみたい気がする。そのためには、長年のペーパードライバー生活を脱しなければならないが。</p>

<p>　最後に、先月開催されたFire Fight Australia。先ほど紹介したように、今もTシャツを買うことで、チャリティーに参加することが出来るが、それに加えて、この度当日の様子を収めた二枚組CDが発売された。こちらも購入することで、それが寄付となる。ポピュラーミュージックが好きで、今回のブッシュファイアーの被害に寄付をしたいと思いつつ、出来ていない人は、是非こちらも一考の価値あり、だ。</p>  

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><a href="https://thethreadshop.com.au/collections/fire-fight-australia/products/artists-unite-for-fire-fight"><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/03/-----20200316-FireFightAust-CD.jpg" alt="" title=""></a></div></div>

<p><br>  </p>

<p>　先にも書いたように、今回のブッシュファイアーで大きく傷ついたオーストラリアのあちこちのコミュニティ、あるいは生態系が再生するには、膨大な時間や資金がかかることだろう。私も長期の応援を微力ながら続けて行きたいと思う。</p>  

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/lqjNWuM2z-Q" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">コンサート最後の<a href="https://youtu.be/lqjNWuM2z-Q">「You’re the voice」</a><br><br></font></div></div>

<p><br> <br>
<br> <br>
<a href="https://telescopium.stellato.blog/author/yoko-harada/">Read More from this Author</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[オーストラリア炎上【前編】]]></title><description><![CDATA[<p>　２月１６日日曜日、シドニーのANZスタジアムで恐らくこの手の音楽イベントとしてはオーストラリア史上最大だったのではないか？と言われている「Fire Fight Australia」というコンサートが開催された。題名から容易に想像出来るように、昨年来オーストラリアを襲っていたブッシュファイアー（森林火災）被害救済のチャリティーコンサートだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/02/-----20200113-Queen-FB--Fire-Fight-Australia-poster-.jpg" alt="Queenのオフィシャルフェイスブックページより" title=""><font size="2">Queenのオフィシャルフェイスブックページより<br><br></font></div></div>

<p>　１月に入って開催がアナウンスされ、１３日に発売された６５，０００枚のチケットは、５時間で売り切れ。追加のチケット発売もあり、ANZスタジアムの通常の収容人数を考えると、７５，０００人の人たちが現地へ足を運び、その模様はチャンネル７が生中継をしたので、多くのオーストラリアの人たちがこのコンサートを体験したのではないだろうか。そして、私のように海外にいるオーストラリアに縁のある者は、ライブ当日ツイッターをフォローすることで会場の様子をリアルタイムで知り、演奏の一部を視聴することも出来、遠くからこのイベントのライブ感を少し体験することが出来た。<br>  
　午後１２時４５分、オーストラリア先住民のWelcome to countryという、彼らの土地に外の人間を招き入れる儀式の演奏、踊りで幕開け。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/02/-----20200216-FireFightAust-fb--Welcome-to-the-country-.jpg" alt="Welcome to countryの一シーン" title=""><font size="2">Welcome to countryの一シーン（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　オリビア・ニュートン・ジョンとジョン・ファーナムが締めるまで、なんと１０時間という長丁場のイベントとなった。出演したアーティストはザっとプログラムを数えただけでも２５組に上る。<br>  
　その中で特にオーストラリアのみならず世界的に注目を集めたのは、Queen+</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/australian-wildfires/</link><guid isPermaLink="false">2cf061ec-6046-43be-9be4-7863a0997e94</guid><category><![CDATA[オーストラリア備忘録]]></category><dc:creator><![CDATA[Yoko Harada]]></dc:creator><pubDate>Wed, 26 Feb 2020 01:21:56 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>　２月１６日日曜日、シドニーのANZスタジアムで恐らくこの手の音楽イベントとしてはオーストラリア史上最大だったのではないか？と言われている「Fire Fight Australia」というコンサートが開催された。題名から容易に想像出来るように、昨年来オーストラリアを襲っていたブッシュファイアー（森林火災）被害救済のチャリティーコンサートだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/02/-----20200113-Queen-FB--Fire-Fight-Australia-poster-.jpg" alt="Queenのオフィシャルフェイスブックページより" title=""><font size="2">Queenのオフィシャルフェイスブックページより<br><br></font></div></div>

<p>　１月に入って開催がアナウンスされ、１３日に発売された６５，０００枚のチケットは、５時間で売り切れ。追加のチケット発売もあり、ANZスタジアムの通常の収容人数を考えると、７５，０００人の人たちが現地へ足を運び、その模様はチャンネル７が生中継をしたので、多くのオーストラリアの人たちがこのコンサートを体験したのではないだろうか。そして、私のように海外にいるオーストラリアに縁のある者は、ライブ当日ツイッターをフォローすることで会場の様子をリアルタイムで知り、演奏の一部を視聴することも出来、遠くからこのイベントのライブ感を少し体験することが出来た。<br>  
　午後１２時４５分、オーストラリア先住民のWelcome to countryという、彼らの土地に外の人間を招き入れる儀式の演奏、踊りで幕開け。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/02/-----20200216-FireFightAust-fb--Welcome-to-the-country-.jpg" alt="Welcome to countryの一シーン" title=""><font size="2">Welcome to countryの一シーン（スクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　オリビア・ニュートン・ジョンとジョン・ファーナムが締めるまで、なんと１０時間という長丁場のイベントとなった。出演したアーティストはザっとプログラムを数えただけでも２５組に上る。<br>  
　その中で特にオーストラリアのみならず世界的に注目を集めたのは、Queen+Adam Lambertだ。ちょうど彼らのオーストラリア・ツアーに引っかかる日程で、それで出演の依頼が行き、快諾されたんだろうな、と当初思っていたのだが、どうも話は逆らしい。バンド側はオーストラリア・ツアー中に今回のブッシュファイアーの被害救済に何か貢献したいという意向を持っていて、それをオーストラリアの招聘元と検討する中で、２月１５日に彼らのライブがANZスタジアムで予定されていたため、終了後セットを解体せずそのまま残し、翌日そこで大規模コンサートをやる案が浮上したのだそうだ。<br>
　少し話は横道に逸れるが、当日Queenは伝説のステージともなっている、１９８５年の英国ウェンブリースタジアムでのLIVE AIDでのセットリストをそのまま再現する演奏をした。大ヒットとなった映画「ボヘミアンラプソディ」のラストに登場した、あのコンサートだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/BWZ98VI9jYE" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">We Will Rock You<br><br></font></div></div>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/ORrlS0GcDNA" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">We Are The Champions<br><br></font></div></div>

<p>LIVE AIDも今回のイベントもチャリティーコンサートだし、一昨年から昨年にかけての映画のヒットがあるし、何と言っても国内ツアー中でQueenがオーストラリアで盛り上がっていることもあったし、LIVE AIDのセットリストの史上初（とバンドのフェイスブックには書かれていた）の再現は実に絶妙なアイディアだったと思う。<br>  
　ギタリストのブライアン・メイは長い一日の締めくくりのセットにも登場し、このブッシュファイアーと生身で戦って来た消防士たちもステージ上に招いての最後の曲「You’re the Voice」で再度ギターを演奏した。この曲は、トリをオリビア・ニュートン・ジョンと共に務めたオーストラリアのベテラン歌手、ジョン・ファーナムのオーストラリアの非公式な国歌とも称される持ち歌だ。会場が大合唱となったのは言うまでもないが、この曲にアボリジナルの歌詞を載せたバージョンを最近リリースした、自らもアボリジナルのアーティスト、ミッチ・タンボも登場。アボリジナルの管楽器ディジュリドゥの演奏も交えての渾身のパフォーマンスが更に７５，０００人の観衆を熱狂させたように感じた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/02/-----20200217-SMH--Mitch-Tambo-.jpg" alt="ミッチ・タンボのパフォーマンス（２０２０年２月１７日付、シドニー・モーニング・ヘラルド紙</a>のスクリーンショット）" title=""><font size="2">ミッチ・タンボのパフォーマンス（２０２０年２月１７日付、<a href="https://www.smh.com.au/culture/music/iconic-moment-music-industry-united-in-praise-for-fire-fight-concert-20200217-p541mo.html">シドニー・モーニング・ヘラルド紙</a>のスクリーンショット）<br><br></font></div></div>

<p>　このラストの演奏部分は録画状態が良い公式な動画がリリースされていないため、残念ながらここでシェアすることが出来ないのだが、観客がスマホで撮影し、you tubeにアップしている動画を見てみると、曲の途中でバグパイプの演奏も含まれていたことがわかった。なんで？と思う人もいるかもしれないが、英国の植民地だったオーストラリア。白人系オーストラリア人の中には、スコットランドに縁を持つ人が多くいる。（またまた余談ではあるが、オーストラリアが生んだ最大のロックバンドと言われるAC/DCの１９７５年リリースの曲「It’s a Long Way to the Top」では、今は亡きボーカリスト、ボン・スコットがバグパイプを演奏している。ロックでバグパイプが使われたのはあれが初めて、と言われているが、スコットはスコットランドからの移民だ。）このラストの大盛り上がりから、宗主国（英国）と植民地（オーストラリア）、先住民と入植者、そして君主（クイーン）が絡み合う、オーストラリアの複雑な歴史と政治を読み取ってしまったのは私だけだろうか。</p>

<p>　あっという間に売り切れたFire Fight Australiaチケットの売上金はもちろん全額寄付に回されたが、コンサート当日も寄付を呼びかけ続け、あの日一日で９８５万ドル（約７億２千７百万円）の寄付を集めることが出来たのだそうだ。</p>

<p>　ブッシュファイアーのことは、私はいつも「オーストラリアの夏の風物」と言って来た。乾いた大地のオーストラリアで、夏にあちこちでブッシュファイアーが発生するのは毎年お決まりのことだ。確かにこれまでも１９９４年のシドニー近郊のブッシュファイアーや、２００９年の「ブラック・サタデー（暗黒の土曜日）」と呼ばれているヴィクトリア州のブッシュファイアーなど、大火もいくつかあった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2020/02/-----20200127-Daily-Telegraph-Mirror--The-NSW-Fires-1994-.jpg" alt="１９９４年のシドニー近郊の大火を特集した写真集" title=""><font size="2">１９９４年のシドニー近郊の大火を特集した写真集<br><br></font></div></div>

<p>しかし、今回の火災はこれまで聞いたことがないような長期間、かつ広範囲に及ぶもので、「風物詩」などという情緒のある表現は全く当てはまらないものだった。そして、自分の直接の友人たちのことを心配しなければならない事態に陥ったのも今回が初めてだった。</p>

<p>　いつもはキャンベラ市内に住んでいる友人が、キャンベラからは距離がある、火災の状況が深刻化していた国立公園エリア内の小川、Green Wattle Creek に近い場所から、自身のフェイスブックに火の手が迫っていることを投稿したのは１２月頭。何故？と思ったら、そこは彼女の両親が住んでいるところで、家屋とその敷地に危険が迫っているとのことだった。このままだと明日火が到達するか？という日に、消防団がやって来て、バックバーニング、という手法を取ったとのこと。これは、先に敷地の周りの草木を焼いておき、火が到達した時には、燃える物がないので、そこで人を食い止める方法なのだそうだ。<br>  
　そうやって備えていたところ、幸い風向きが変わり、火の手が別方向を向いたために幸運にも彼女の両親の家は被害を免れた。近接する国立公園の火災が沈下したのは１月２６日。延々２か月燃え続けていたのだそうだ。危険が身に迫ったのは数日だったとは言え、彼女の両親はずっと落ち着かない日々を過ごしていたのだろう。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/oanoTx7_SY4" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">Green Wattle Creekを含む広範に亘る火災を報じるニュース（２０１９年１２月１９日放送の7NEWS）<br><br></font></div></div>

<p>　もう一人の友人は正に自らの家に危機が迫った。シドニーからは大分南下したヴェローナという町（というより村と言った方が良い規模だと思うが）に住む彼女は大学院時代の友人で、博士号を取得した後しばらくして今の地に移り住み、野菜を育て、鶏や豚を飼い、野菜や玉子を地元のマーケットで売り、正にカントリーライフを楽しんでいるようだった。私はその地を訪れたことはないが、周辺には広大な自然が広がり、農業を営む人たちが多く住む場所であることが容易に想像出来る。<br>  
　今回のブッシュファイアーはヴェローナを含む地域に大きな被害をもたらした。その地域の中心的なコバーゴという町の様子は全国ニュースでも繰り返し流されていた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/lkTN08LmNK4" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe><font size="2">２月１９日に公開されたコバーゴの被害をレポートしたビデオ<br><br></font></div></div>

<p>　このビデオは状況が落ち着いた２月中旬に若者による報道チャンネル「VICE」が撮影、公開したものだが、これを見ていると、農業を営んでいると逃げる、と言っても、それほど容易いことでないことがよくわかる。人間は逃げられても、飼育している動物たちはどうしたら良いのか…。火災自体で失った羊は３０頭の内６頭だったものの、生き残ったものも足などに重度の火傷を負っていたため銃で処分をせざるを得なかった、と言う男性の辛さはいかばかりか…。この男性は自分が手を掛けなければならなかった羊の他にも山に逃げ込んだ１００頭余りの家畜を失っている。それでもこの地で生まれ育ったので、またここで生活を築いていく、と語る。<br>  
　このコバーグのブッシュファイアーでも、私の友人の家や敷地は本当に運よく焼けずに残った。動物たちも無事だったらしい。それでも、多くを失い、これから家はもちろん人生そのものを再建して行かなければいけない人たちが多くいるコミュニティの中で暮らしていくということは、彼女にとっても大変なことだと思う。このビデオにも表現されているように、元々小さいコミュニティだけに、災害に直面し、住民の結びつきがより強くなっているようだが、それだけに他人の痛みも我事のように感じられて、より辛いのではないだろうか…。</p>

<p>　では果たして私に何が出来るのか…。この友人に、ということでなく、第二の故郷と思っているオーストラリアが見舞われた悲劇にどのようなことが出来るのか…。これは今回のことに限らず、例えば昨年秋、日本各地を大型の台風が遅い被害が広がった時も同じだが、当事者でなく、その地域に住んでもいない者が被災地に貢献出来ることと言えば何か。やはりささやかな寄付をするのが一番なのだろうか。<br>  
　様々な想いが巡るが、次回は今回のオーストラリアのブッシュファイアーに対する寄付に纏わる話をしたいと思う。</p>

<p><br> <br>
<br> <br>
<a href="https://telescopium.stellato.blog/author/yoko-harada/">Read More from this Author</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[ラグビーワールドカップ２０１９日本大会ー宴のあとで]]></title><description><![CDATA[<p>　こんなにラグビーファンが日本にいたのか？？そんなことを思い続けた少々感動の一ヶ月半だった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191031-Shinagawa-1.jpg" alt="ワールドカップ開催中に品川で見かけた看板" title=""><font size="2">ワールドカップ開催中に品川で見かけた看板<br><br></font></div></div>

<p>　日本で、いや、アジアで初めて開催された「ラグビーワールドカップ」。ネットのニュースの上位にラグビーの話題が上がって来るし、TwitterやFacebookなどのSNSも、元々私がフォローしている人たちにラグビーファンなどほとんどいなかっただろうに、ラグビー関連の投稿で溢れ返った。所謂俄かファンもいただろうし、前からラグビー押しだったけれど、今まで一般的に話題にならないから黙っていた、隠れ？ラグビーファンの人たちもいただろう。後者の人たちがここぞとばかりにラグビー愛を炸裂させ、熱いコメントを連投しているのが実に面白かった。<br>  
　ちょうど開催期間中に定期検診で訪れた病院の主治医も、一通り必要な説明をし、薬を処方した後で、「ところで原田さんはラグビー、観てるんですか？」と聞いて来た。え？とびっくりしつつ、先生は？と聞き返したところ、「えぇ、観てるんですよぉ。今流行りの“俄か”ですけどね。ラグビーってよく見てると面白いですねぇ」と返事があり、しばしラグビー談義に花が咲いてしまった。実はその日は待ち時間がちょっといつもより長い感じがしていたのだが、ひょっとしてそれは先生が患者さん一人一人とラグビーの話をしていたからだったのだろうか？<br>
　それはともかく、ラグビーは、実は私が人生初めて熱狂したスポーツだった。子供の頃にオーストラリアに住んでいたのだから、それは当然のことだったかもしれない。私がシドニーに住んでいた１９７０年代、身近な人気スポーツと言えば、当時強い選手が多かったテニス、そしてラグビーだった。<br>
　因みに、オーストラリアでは「</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/rugby-world-cup-2019/</link><guid isPermaLink="false">ab910572-266f-4d8f-82c8-371f2b925507</guid><category><![CDATA[オーストラリア備忘録]]></category><dc:creator><![CDATA[Yoko Harada]]></dc:creator><pubDate>Mon, 25 Nov 2019 00:39:34 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>　こんなにラグビーファンが日本にいたのか？？そんなことを思い続けた少々感動の一ヶ月半だった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191031-Shinagawa-1.jpg" alt="ワールドカップ開催中に品川で見かけた看板" title=""><font size="2">ワールドカップ開催中に品川で見かけた看板<br><br></font></div></div>

<p>　日本で、いや、アジアで初めて開催された「ラグビーワールドカップ」。ネットのニュースの上位にラグビーの話題が上がって来るし、TwitterやFacebookなどのSNSも、元々私がフォローしている人たちにラグビーファンなどほとんどいなかっただろうに、ラグビー関連の投稿で溢れ返った。所謂俄かファンもいただろうし、前からラグビー押しだったけれど、今まで一般的に話題にならないから黙っていた、隠れ？ラグビーファンの人たちもいただろう。後者の人たちがここぞとばかりにラグビー愛を炸裂させ、熱いコメントを連投しているのが実に面白かった。<br>  
　ちょうど開催期間中に定期検診で訪れた病院の主治医も、一通り必要な説明をし、薬を処方した後で、「ところで原田さんはラグビー、観てるんですか？」と聞いて来た。え？とびっくりしつつ、先生は？と聞き返したところ、「えぇ、観てるんですよぉ。今流行りの“俄か”ですけどね。ラグビーってよく見てると面白いですねぇ」と返事があり、しばしラグビー談義に花が咲いてしまった。実はその日は待ち時間がちょっといつもより長い感じがしていたのだが、ひょっとしてそれは先生が患者さん一人一人とラグビーの話をしていたからだったのだろうか？<br>
　それはともかく、ラグビーは、実は私が人生初めて熱狂したスポーツだった。子供の頃にオーストラリアに住んでいたのだから、それは当然のことだったかもしれない。私がシドニーに住んでいた１９７０年代、身近な人気スポーツと言えば、当時強い選手が多かったテニス、そしてラグビーだった。<br>
　因みに、オーストラリアでは「フットボール」と言えばサッカーではなく、ラグビーのこと。サッカーはサッカーだ。以前日本でオーストラリア映画「Bootmen」（邦題は「タップドッグス」）が公開された時、明らかにラグビーのことに言及して登場人物が「フットボール」と言っている場面で、字幕が「サッカー」となっていて、思わず「違う！」と声を上げそうになったことがある。翻訳は教科書英語のまま訳せば良いのではなく、文化的な背景も十分理解していないと正しい訳は付けられないだけに、本当に難しい仕事だとつくづく思う。<br>
　その「フットボール」、オーストラリアには主に３つの異なる競技が存在する。一つは、今回日本でワールドカップが行われた「ラグビーユニオン」。もう一つは「ラグビーリーグ」。そして「オーストラリアン・ルールズ・フットボール」だ。（長いので、以下「オージールール」と記載することにする。）<br>
　「リーグ」はパッと見「ユニオン」と酷似しているが、まず人数が１チーム１３人で、１５人の「ユニオン」と異なる。従って、スクラムハーフは「ユニオン」では９番だが、「リーグ」では７番だ。両者の違いは細かくはいろいろあるのだろうが、私も解説が出来るほど詳しくはない。が、一言で言うと、スピードが決定的に違う。「リーグ」の方がゲームの展開が断然早い。例えば「ユニオン」だと選手がボールを持って走り、タックルで倒されると、ラック、というのだろうか、選手たちがワーッと寄って来て、団子状態でボールを奪い合うという状態が発生するが、「リーグ」ではそれがない。タックルされるとそこで一旦両者が分かれ、ボールを持っていた選手が立ち上がって、後ろにいる選手一人に足でボールを掻き出す感じでボールを回しプレーが継続する。そして６回倒されると、相手チームにボールが渡される。ラックでワサワサやっている時間がないので、結果、スピーディーになるのだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/Q_RaDAHACD4" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
    <div><font size="2">今シーズンの「リーグ」のトーナメントの中でベストとされるトライの数々<br><br></font></div></div>

<p>　一方、「オージールール」は、名前からわかるようにラグビーをベースにオーストラリアで生まれた球技で、その誕生の過程には諸説ある。最近では先住民の人たちがやっていた球技と融合する形で成立したのでは、ということも言われている。<br>  
　これは、見かけから「ユニオン」「リーグ」と全く違うスポーツ、ということがわかる。選手たちもヘビー級、というより、筋肉質でシュッと引き締まっている選手が多い。ユニフォームも見るからに違ってノースリーブだ。そしてグラウンドも長方形ではなく、楕円形。当然ルールは全く違うが、以前シドニーの友達に「オージールールって覚えるの難しいかな？」と質問したところ、「そんなことないよ、単純なルールだよ。あれはただひたすらグラウンドの中を走り回って、ボールを回して、時々それを蹴って、ってだけだから」、と言われたことがある。これは彼のジョークだろう、とその時は笑って終わったが、実際試合を見に行ったところ、正にその通りだった。これはひどく運動量の多い競技だ。選手たちの身体が締まっているのに納得だ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/UZwOJJWxcsM" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
    <div><font size="2">今年の「オージールール」のシーズン最後の優勝決定戦のハイライト<br><br></font></div></div>

<p>　この３つのラグビーの中で私が昔熱狂して観ていたのは「リーグ」だった。それは「リーグ」がプロ競技で、シーズン中はトーナメントの形で毎週末試合が行われ、各地にクラブチームが存在していて、一般市民の最も身近に存在していたプロスポーツだったからだ。私が通っていたシドニー日本人学校でも、みんなそれぞれお気に入りのチームがあって、週明けの月曜日は、土日の勝ち負けの話で盛り上がった。日本におけるプロ野球的存在、と言えるか。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191117-Rugby-League-1976.jpg" alt="昔集めた「リーグ」関連の雑誌やファングッズ" title=""><font size="2">昔集めた「リーグ」関連の雑誌やファングッズ<br><br></font></div></div>

<p>　プロスポーツ、というと、「オージールール」もプロなのだが、実は「リーグ」はシドニー中心、「オージールール」はメルボルン中心、と人気のある地が分かれていたため、当時「オージールール」は私には遠い存在の競技だった。現在は商業的な狙いもあり、シドニーに「オージールール」のチームを誘致し、逆にメルボルンには「リーグ」のチームを設立するなどしたことで、両方の競技が全国的に注目される体制になっている。それでも、未だにオージールールはメルボルン、リーグはシドニー、というイメージは消えていない。こんなところにも、以前のブログに書いた「シドニーvs.メルボルン」の構図があって面白い。<br>  
<br>  
　少し話が逸れたが、そのような訳で、肝心のユニオンは接する機会はほとんどなく、当時オーストラリアチームの試合の話を聞くこともなかった。しかしながら、そんな私にも一つだけとっておきのユニオンに纏わる思い出がある。<br>
　私たちの家族がシドニーに住んでいた１９７５年、全日本がオーストラリアに遠征をして来たのだ。ニックネームが今のように勇ましい「Brave Blossoms」となる前の「Sakura」あるいは「Cherry Blossoms」と、優雅だが、ちょっと勝負に強そうではない名前だった頃のことだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191117-Sakura-Australia-Tour-1975.jpg" alt="１９７５年全日本オーストラリア遠征のプログラムと選手紹介資料" title=""><font size="2">１９７５年全日本オーストラリア遠征のプログラムと選手紹介資料<br><br></font></div></div>

<p>　試合はもちろん地元日本人総出で応援しに行ったが、それにも増して当時中学生だった私の記憶に強く残っているのは、代表選手や関係者が１０名ほど我家にやって来たことだ。<br>  
　一ヶ月に亘る海外遠征の中間辺り。そろそろ日本食が恋しいのではないか、というタイミングでシドニー入りしたので、シドニー駐在の日本企業で分担して、社員の家庭に選手や関係者の方たちを呼び、日本食を振る舞い慰労しよう、ということになったらしい。私の父親の会社ではなぜか我家に白羽の矢が立って、１０人くらいのご一行様が我家にやって来た。<br>
　私と弟二人は、みんなが集うリビングルームの隣りのダイニングキッチンから、時折選手や他の大人たちが愉快そうにしゃべり、飲み食いする様子を覗いていたが、選手の中には我々がいるダイニングへ来てくれて、気さくに声を掛けてくれた人もいた。<br>
　大変だったのは“料理長”の母だ。一人で食欲旺盛なラガーマン、プラス数人のお客さん分の食事を賄わなければならなかった。圧巻だったのは１００個のおにぎり！<br>
　最初いくつ握ったのかわからないが、途中で足りなさそう、ということで、ご飯を追い炊き。更に握った。ご飯がまだ熱いうちに握ったので母の手のひらは真赤だったのを覚えている。<br>
　そしてやっと一段落し、母が半ば放心状態で台所の食卓の椅子に座っていたら、選手の一人が顔を出し、「あの～、奥さん、牛肉の、まだありますか？」と一言。牛肉の、というのは、大鍋で煮た「牛肉のパイナップル煮」。その一言を聞いて、母は「えぇぇぇ？？まだ食べるんですか？」と心の中で叫んだ、というのが我家に伝わるとっておきのエピソードだ。おにぎり１００個握り終わって、やっとホッとしたところだったのに、と。<br>
　でも、これは母にとっては、大変な喜びだったことは間違いない。母は、長かった海外生活でも毎日限られた食材で欠かさず和食をメインに食事を作ってくれ、父を含めた４人分のお弁当を用意してくれた料理にこだわりのある人だったので、きっと料理人冥利に尽きることだったのではないだろうか。当時スマホがあったら、間違いなく沢山写真を撮って、それが今残っていたと思うが、残念ながらそのおにぎりたちは、今私たち家族の記憶の中にしかない。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191117-Sakura-Australia-Tour-1975-2.jpg" alt="この中の１０名程が我家を訪れてくれた" title=""><font size="2">この中の１０名程が我家を訪れてくれた<br><br></font></div></div>

<p>　さて、一方で肝心の試合の方だが、そのおもてなしをした日よりも後だったと思うが、いよいよ、全豪チームと対決の日がやって来て、我々一家も他の日本人の人たちとシドニー・クリケット・グラウンドへ応援しに行った。結果は７－３７。３０点差での大敗だった。その時私は、日本のラグビーはまだまだ発展途上なんだ。これからもっと鍛えて、どんどん強くなるんだ。そして全豪と互角に戦えるようになり、いつか必ず勝つんだ！と子ども心ながらに強く思った。まるで明治維新の時代の日本の人たちが西洋の国に追いつき、追い越すんだ、と思ったように。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----1975-Rugby-Football-Vol25.jpg" alt="対全豪戦の模様を伝える日本ラグビーフットボール協会の機関誌「Rugby Football」第２５巻（スクリーンショット）（注①）" title=""><font size="2">対全豪戦の模様を伝える日本ラグビーフットボール協会の機関誌「Rugby Football」第２５巻（スクリーンショット）（注①）<br><br></font></div></div>

<p>　その後２１世紀になってまたオーストラリアに住むことになり、ラグビーの話題が身近で聞こえて来るようになった。そんな時に開催された２００７年のラグビーワールドカップ。私の耳に飛び込んで来たのは、日本が豪州に３‐９１で負けた、というショッキングなニュースだった。<br>  
　「え？差、縮まってないじゃん。広がってるじゃん。１９７０年代より後退してるじゃないか、日本」と心底がっかりした。やっぱり日本人にラグビーは無理なの？とも思った。<br>
　１９７５年のあのテストマッチからほとんどまともにラグビーを見たこともなく、その２００７年のワールドカップも、そのニュースが入って来るまで開催されていること自体に関心がなかったような人間がそんなことを思って、全く失礼だった、と今にして反省しているが、その時の正直な想いはそういうものだった。<br>
　そんな訳で、今回のワールドカップに関しても、２０１５年の歴史的な南アフリカ戦勝利があったとは言え、この日本で果たして盛り上がるのか？お客さんは入るのか？これは、昔感化された人間としては、１つでも２つでも試合を観に行って、ワールドカップをサポートしなければならないのではないんだろうか？などと、２年くらい前には思っていた。が、ご存じの通り、まぁ、当たり前と言えば当たり前だが、私なぞの心配は全く不要。日本社会のあちこちを巻き込み、感動を与え、大盛況、大成功でワールドカップ日本大会は無事幕を閉じた。<br>
　結局私は、全くピント外れのワールドカップの捉え方をしていて、すっかり乗り遅れた上に、予想外の大人気になってしまって、とてもじゃないけれどナマで試合を見る、などということは叶わなくなり、結局家の近くの英国系パブで、ワラビーズの試合を２試合観戦しただけで終わってしまった。（うちにはテレビがないので、テレビ観戦も不可だったのだ。）<br>
<br>  
　ただ、そんな私にもちょっぴりワールドカップの熱狂を体験する機会が最後の最後に訪れた。決勝戦の行われる直前の１０月末日、オーストラリアからラグビー観戦を目的に組まれたツアーで来日しているお客さんたちを対象に、夕食会が都内で開催された。その集いのエンターテインメントで、たまたま私がよく知るオーストラリアの歌手が歌うことになり来日したために、その夕食会に潜り込むことが出来たのだ。<br>
　ツアー参加者は１００人近くいたのではないだろうか。みなそれなりの年齢の方たちで、ハッピーリタイアメント組だろうか？その時点でワラビーズは既に敗退してしまっていたが、必ずしもワラビーズのファンばかり、ということではなさそうで、司会を務めるフォックスニュースのスポーツキャスターがアイルランドに言及したら、一部から歓声が上がるなどしていた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191031-We-love-rugby-2.jpg" alt="スポーツキャスター（左端）を司会に迎えた余興のトーク" title=""><font size="2">スポーツキャスター（左端）を司会に迎えた余興のトーク<br><br></font></div></div>

<p>　ラグビーオーストラリアのラエリーン・カースル会長も来場していて、登壇。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191031-We-love-rugby-1.jpg" alt="挨拶をするラグビーオーストラリア会長" title=""><font size="2">挨拶をするラグビーオーストラリア会長<br><br></font></div></div>

<p>　オージーイングリッシュが行き交う中、ラストはオーストラリアのベテラン歌手ダリル・ブレイスウェイトが締め、その宴会場だけ、まるで現地オーストラリアにいるかのようなムードに包まれた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/11/-----20191031-Happoen-1.jpg" alt="参加者総立ちのライブ" title=""><font size="2">参加者総立ちのライブ<br><br></font></div></div>

<p>　チーズ、各種オードブルにローストビーフや握り寿司、天ぷら、蕎麦、そしてベジタリアン対応のメニューなど、数々の豪華な食事のお相伴に預かりながら、私の頭の中に蘇って来たのは、もちろん４４年前のあの母の握った１００個のおにぎりだ。おにぎりから豪華握り寿司まで。思えば遠くへ来たもんだ、と思ったが、正に全日本も確実に４４年の進化を遂げ、当時からすると随分遠くまで来ていたのだ。<br>  
　このワールドカップの熱狂の余韻が余韻で終わらず、ラグビー人気が日本でも定着して行ってくれたらいいなぁ、と思う。そしてBrave Blossomsにはもちろん、今回今一つエンジンがかからないまま終わってしまったWallabiesにも今後益々頑張ってもらって、いずれまた両者の対決がナマで観戦出来る日がやって来ることを願いたい。</p>

<p>【注①】日本ラグビーフットボール協会の機関誌「Rugby Football」のバックナンバーは、<a href="https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11C0/WJJS02U/1310375100">日本ラグビーデジタルミュージアムのサイト</a>から閲覧可
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<a href="https://telescopium.stellato.blog/author/yoko-harada/">Read More from this Author</a></p>]]></content:encoded></item><item><title><![CDATA[メルボルン－世界で一番住みやすい都市？？]]></title><description><![CDATA[<p>　８月半ば、猛暑の東京を脱出して、真冬のオーストラリアへ行って来た。元来寒いのは苦手なので、あまりこの時期にオーストラリアを訪ねることはしないのだが、シドニーに用事があったので、シドニー、そしてメルボルンを回る旅を決行した。両地はどちらも運よく好天で、日中は汗ばむほどの陽気。でもまだ風はひんやりと爽やかで、とても気持ちの良い天候に恵まれた。結果的に猛暑から逃れる避暑旅行となった。<br>  
　最初の一週間シドニーに滞在し、その後向かったメルボルン。午前中に吹いた強風のせいでフライトが３０分程遅れるトラブルがあったが、ほぼほぼ順調にメルボルン空港へ到着し、市内へのシャトルバス、スカイバスに乗り込んだ。<br>
　もう夕方５時頃だったので、ホテルに着いたら、すぐスーパーに必要なものを買いに行って、夕食だなぁ、などということを考えつつ、バスに揺られていたのだが、市内が近づき、見覚えのあるビル群が見え出した辺りで、あれぇ？と思った。メルボルンってこんなに高いビル、一杯あったっけ？</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/-----Skybus--.jpg" alt="スカイバスの車窓から（２０１９年８月撮影）" title=""></div>
<div><font size="2">スカイバスの車窓から（２０１９年８月撮影）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　メルボルンがどんどん開発を進め、高層ビルが増え、町が拡大していっているのは、６年前までそこに住んでいて、一部目の当たりにしていたし、去年も訪れて同じ町を見ている。それだけに、市の中心部に以前よりビルが詰め込まれているようにも見える光景にちょっとびっくりしてしまった。<br>  
<br>  
　メルボルンと言えば、ビクトリア州の州都で、シドニーに次いでオーストラリアで二番目に大きい人口を抱える。オーストラリア人の知人の言葉を借りれば、元々はシドニーの「妹」</p>]]></description><link>http://telescopium.stellato.blog/most-livable-city-in-the-world/</link><guid isPermaLink="false">aeeb7b4b-f8eb-4128-9b61-81126fa30fd5</guid><category><![CDATA[オーストラリア備忘録]]></category><dc:creator><![CDATA[Yoko Harada]]></dc:creator><pubDate>Thu, 26 Sep 2019 01:03:00 GMT</pubDate><content:encoded><![CDATA[<p>　８月半ば、猛暑の東京を脱出して、真冬のオーストラリアへ行って来た。元来寒いのは苦手なので、あまりこの時期にオーストラリアを訪ねることはしないのだが、シドニーに用事があったので、シドニー、そしてメルボルンを回る旅を決行した。両地はどちらも運よく好天で、日中は汗ばむほどの陽気。でもまだ風はひんやりと爽やかで、とても気持ちの良い天候に恵まれた。結果的に猛暑から逃れる避暑旅行となった。<br>  
　最初の一週間シドニーに滞在し、その後向かったメルボルン。午前中に吹いた強風のせいでフライトが３０分程遅れるトラブルがあったが、ほぼほぼ順調にメルボルン空港へ到着し、市内へのシャトルバス、スカイバスに乗り込んだ。<br>
　もう夕方５時頃だったので、ホテルに着いたら、すぐスーパーに必要なものを買いに行って、夕食だなぁ、などということを考えつつ、バスに揺られていたのだが、市内が近づき、見覚えのあるビル群が見え出した辺りで、あれぇ？と思った。メルボルンってこんなに高いビル、一杯あったっけ？</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/-----Skybus--.jpg" alt="スカイバスの車窓から（２０１９年８月撮影）" title=""></div>
<div><font size="2">スカイバスの車窓から（２０１９年８月撮影）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　メルボルンがどんどん開発を進め、高層ビルが増え、町が拡大していっているのは、６年前までそこに住んでいて、一部目の当たりにしていたし、去年も訪れて同じ町を見ている。それだけに、市の中心部に以前よりビルが詰め込まれているようにも見える光景にちょっとびっくりしてしまった。<br>  
<br>  
　メルボルンと言えば、ビクトリア州の州都で、シドニーに次いでオーストラリアで二番目に大きい人口を抱える。オーストラリア人の知人の言葉を借りれば、元々はシドニーの「妹」のような立場にあった都市だ。<br>
　オーストラリア大陸の英国人による植民地化が始まったのは１７８８年のことだが、その入植は今「サーキュラー・キー」と呼ばれるシドニー湾内の埠頭の辺りから始まっている。因みに、サーキュラー・キーは、あの言わずと知れたシドニーのアイコン、ハーバーブリッジと、オペラハウスに挟まれたエリアに位置する。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/Screen-Shot-2019-09-26-at-10-06-23-copy.png" alt="真ん中辺りが「サーキュラー・キー」（２０１９年８月撮影）" title=""></div>
<div><font size="2">高いビル群の麓辺りが「サーキュラー・キー」（２０１９年８月撮影）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　キャプテン・クックが、西洋人にとって未知だったオーストラリア大陸の東海岸を「エンデバー号」で探索し、大陸の東半分を英国領と宣言したのは１７７０年。その時その英国領となった部分はニュー・サウス・ウェールズ、と名付けられたが、１７８８年にシドニーから入植が始まった際に、そこはニュー・サウス・ウェールズ植民地、となった。つまり今ビクトリア州となっているオーストラリア大陸南東の先の部分は、当初はニュー・サウス・ウェールズ植民地の一部だったのだ。<br>  
　その後、シドニーを拠点に陸路、また先に植民の進んでいたタスマニア植民地からは海路で現在のビクトリア州方面を目指し入植する動きがあり、フィリップ湾に注ぎ込むヤラ川の河口に町が形成されて行った。その地がメルボルンと命名されたのは１８３７年のこと。そして、１８５１年、ニュー・サウス・ウェールズ植民地から切り離される形で、メルボルンを中心とするビクトリア植民地が誕生した。<br>
　このような歴史的背景から、当初はシドニーがメルボルンの上に立つ関係にあった。古参のシドニーに、新米のメルボルン、と言った構図か。しかし、同じく１８５１年にオーストラリアでもゴールドラッシュが始まり、特にビクトリア植民地の金鉱が栄えたことでメルボルンは巨大な富を得て、その後シドニーを凌ぐ勢いで発展して行くことになる。<br>
　そして、１９０１年に６つの植民地が結集し、オーストラリア連邦という新しい国家が誕生。その際には、シドニーとメルボルンのどちらが首都の座に就くかで、両者の間でいざこざがあったと言われる。オーストラリアの首都がシドニーとメルボルンの間の地、キャンベラにあるのはそのためだ。キャンベラは、当初より首都にすべく建設された計画都市だ。<br>
　そのキャンベラが正式に首都として機能するようになる１９２７年までオーストラリアの仮の首都だったのはメルボルンだし、建国後初の議会が開かれたのは、１８８０年の万博開催の会場として建設されたメルボルンのロイヤル・エキシビション・ビルディングでだった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/--------------.jpg" alt="ロイヤル・エキシビション・ビルディング。２００４年にユネスコの世界遺産登録がなされている。（２０１３年５月撮影）" title=""></div>
<div><font size="2">ロイヤル・エキシビション・ビルディング。２００４年にユネスコの世界遺産登録がなされている。（２０１３年５月撮影）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　更に付け加えると、オーストラリアとオリンピックと言うと、２０００年のシドニーオリンピックを思い浮かべる人が多いのではないかと思うが、オーストラリアで最初に開催されたオリンピックは、メルボルンがホスト都市となった１９５６年大会だ。このように、１９世紀中盤以降、メルボルンは姉のシドニーを凌いでオーストラリア一番の都市であったように見える。しかし、なかなか妹が姉を越えるのは容易なことではない。<br>  
　やはりシドニーは近代国家オーストラリアの発祥の地であるし、人口も一番。ビジネスの活況もあった。そして何と言っても、元々地形が風光明媚である湾に、１９３２年にハーバーブリッジ、そして１９７３年にオペラハウスがオープンすることで、世界三大美港の一つとして国際的に認知され、シドニーはオーストラリアのアイコン都市であり続けた。<br>
　そんなシドニーにメルボルンっ子は常に対抗意識を抱いているようだ。事あるごとにシドニーと比べ、メルボルンの方が優れている、と主張する。シドニーにあるのはビジネスだけ。シドニー湾の美しさは、あれは努力して作ったものじゃない。それに比べてメルボルンには文化がある。努力して作った町の美しさがある、と。つい先日Love AustraliaというFacebookページが投稿した内容が正にそのようになっている。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/-----20190920-Love-Australia-FB--Melbourne-.jpg" alt="２０１９年９月２０日付、Love AustraliaのFacebook投稿（スクリーンショット）" title=""></div>
<div><font size="2">２０１９年９月２０日付、Love AustraliaのFacebook投稿（スクリーンショット）<br><br></font></div>  
</div>

<p>「メルボルンの魅力は、派手な姉のシドニーより、繊細な感じかも！」と言っている。<br>  
<br>  
　このように、長らくメルボルンっ子には無意識の内に何かシドニーに対する対抗意識、あるいはコンプレックスを抱えて来たように見えていた。ところが、その潮目が遂に変わったかな？と思わせるような変化が近年起こっている。<br>
　きっかけは、２０１１年の「世界で一番住みやすい都市」ランキングで、メルボルンが一位に輝いたことだったように思う。「世界で一番住みやすい都市」ランキングは、英国のエコノミスト誌のインテリジェント部門が独自に毎年発表しているものだ。昨年、そして今年と、トップの座をオーストリアのウィーンに譲り二位になったものの、それまで７年連続トップの座を守ったのは大したものだ。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/-----20170816-ABC-News--Mel-liveable-.jpg" alt="メルボルンが７年連続で「世界で一番住みやすい都市」に選ばれたことを伝えるABC News（２０１７年８月１６日付、スクリーンショット）" title=""></div>
<div><font size="2">メルボルンが７年連続で「世界で一番住みやすい都市」に選ばれたことを伝える<a href="https://www.abc.net.au/news/2017-08-16/melbourne-named-worlds-most-liveable-city-for-seventh-year/8812196">ABC News</a>（２０１７年８月１６日付、スクリーンショット）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　最初にこのランキングの結果を聞いた時、私はちょうどメルボルンに住んでいて、新しい交通ICカードが全然まともに機能していないことや、日々の公共の交通機関がちゃんと走らないことなどで生活の不便さを感じていたから、なぜメルボルンが？と思ったものだ。しかし、確かにメルボルンには公園も多く緑に溢れているし、そこそこ魅力的なレストランやカフェもある。ファッションもシドニーよりメルボルン、と言われていたし、アーティストが集まる町であることも事実。そして何より安全な町だったので、ランキングの結果は理解出来た。<br>  
　それでもメルボルンはシドニーと自分を比較することは放棄しなかったけれど、前以上にメルボルンが一番！というムードが溢れ、目に見える形で町が拡大の一途を辿るようになったと感じた。その頃から、市内を流れるヤラ川の河口に向かう河岸のエリアに、どんどん新しいオフィスビルや高層マンションが建ち始めていた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/------------.JPG" alt="ヤラ川にかかるプリンセス橋から河口の方（西方向）を向いて。高層ビルが立ち並び、建設中のクレーンもいくつも見える（２０１９年８月撮影）" title=""></div>
<div><font size="2">ヤラ川にかかるプリンセス橋から河口の方（西方向）を向いて。高層ビルが立ち並び、建設中のクレーンもいくつも見える（２０１９年８月撮影）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　そしてこの8月に空港から市内へ向かうリムジンバスの中から見えたメルボルン市は、更に大きくなっているように見えた。<br>  
　その後一週間メルボルンに滞在したが、市内はあちこち改装工事が行われていた。馴染みのカフェは改装中で臨時休業。お土産物屋さんは営業はしているが、外壁はビニールに覆われていて、こちらも改装中。更に、市内だけでなく、私が以前住んでいた住宅街も例外ではなかった。メインの道路から徒歩５分くらいのところにあった我家までの間にも、昔からあった一軒家が取り壊され、新しい家の建築が進められているところが３ヵ所はあった。<br>
　なんというのか、私の世代だと、１９８０年代後半の日本のバブル期に聞いた、「いけいけどんどん」という言葉が思い浮かんでくるような発展ぶりだ。私はシドニーの変化は１９７０年代から少しずつ見て来たが、その半世紀近い年月をかけてシドニーで見て来た変化が、メルボルンではこの５，６年で一気に起こってしまったように感じた。あちこち綺麗になって、素敵と言えば、素敵なのだが、正直言って、ちょっと疲れてしまった。とても勝手なことを言えば、第二の東京はいらない、という感情か…。<br>
　これは、こうやってたまに休暇で訪れる者の勝手な言い分であり、また昔は良かった的な私のノスタルジアに過ぎないのだろう。この発展ぶりをメルボルンっ子たちはきっと誇らしく思っているのだろうなぁ、と思っていた。<br>
　ところが、実はそうでもないことを、ちょうど帰国してほどない頃に行き当ったABC MelbourneのFacebook投稿に付けられたコメントを読んで知った。その投稿は、３年後の完成を目指して建設が進められるメルボルン市内を縦断する地下鉄工事のため、その翌日からメインのフリンダース駅近くの道路が閉鎖されることの告知がメインのメッセージだったのだが、同時に「３年後のメルボルンはどんな町になっていると思う？」と問いかけているものだった。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/-----20190904-ABC-Melbourne-FB--Melbourne-in-3-years-.jpg" alt="２０１９年９月4日付のABC MelbourneのFacebook投稿（スクリーンショット）" title=""></div>
<div><font size="2">２０１９年９月4日付のABC MelbourneのFacebook投稿（スクリーンショット）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　私は咄嗟に、過剰開発されて、人が溢れ、ホームレスの人たちが増えている、と思ったのだが、きっとメルボルンっ子は、その発展を好意的に捉えているのだろうと思いつつ、コメント欄を読んでみた。そうしたところ、私と同様に現在の開発過多を憂えているコメントが多いではないか。そうか…地元の人たちも私と同じように思っている人が結構いるのか…。ちょっと安心した。<br>  
　私の第一の懸念は、町が東京のように忙しくなってしまい、オーストラリアの良さののんびり感が消えてしまうことだが、同時に今回以前よりホームレスの人たちが増えたように見えたのがとても気になった。<br>
　もちろん、前々からメルボルンにもホームレスの人たちはいた。しかし、今回は、改装工事が行われている店舗の角、角にホームレスの人たちが座っている感じで、前よりも数が多くなったように見えた。彼らは自らの窮状を段ボールの切れ端に書いて掲げ、物乞いをしている。通行人に声を掛け、小銭をせがんでいる人もいる。その光景と、アップグレードすべく改装工事の幕を巡らされた周囲の店舗とのコントラストが非常に目についた。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
    <div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/---------------.JPG" alt="メルボルン市内の目抜き通りスワンソン・ストリートの光景（２０１９年８月撮影）" title=""></div>
<div><font size="2">メルボルン市内の目抜き通りスワンソン・ストリート。新しいタピオカドリンクのお店の前にホームレスの人が...（２０１９年８月撮影）<br><br></font></div>  
</div>

<p>　ある知人によると、最近近くのフリンダース駅のホームレスの人たちが集まり寝起きしていた一角が閉鎖され、そこにいた人たちが町中に流れて来ているという話があるとのこと。人が増え、町が発展して行くと、世知辛い社会になってしまうのは世の常なのか。<br>  
　何をもってして「世界一住みやすい都市」なのか…。メルボルンの前に訪ねたシドニー、そして自分が住む東京も「世界で一番住みやすい都市」ランキングのベスト１０に入っているだけに、そのことを考えさせられる旅となった。次回メルボルンを訪ねた時にあの町がどのようになっているのか。ちょっと怖く感じている。相変わらずICカードが引っかかったり、トラムの運行が急に止まったりしてくれた方が案外心の平穏が保てるような気がしてならない。</p>

<div style="line-height:18px;text-align:center;">  
<div><img src="http://telescopium.stellato.blog/content/images/2019/09/-----------.jpg" alt="ここ数年開発が特に著しいメルボルン・ドックランズ周辺の夜景（２０１９年８月撮影）" title=""></div><div><font size="2">ここ数年開発が特に著しいメルボルン・ドックランズ周辺の夜景（２０１９年８月撮影）</font></div>  

<p></p></div><br><p></p>

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<a href="https://telescopium.stellato.blog/author/yoko-harada/">Read More from this Author</a></p>]]></content:encoded></item></channel></rss>